醒メテ猶ヲ彷徨フ海|野原海明(@mianohara)

野原海明(のはら みあ)のWeb文芸誌

白濁(二十三)

「さんざん親にわがまま言ってきたし、そろそろお母さんの期待にこたえなきゃなって。 美里はそんなことを言っていた。さっぱりとした顔をしていた。 「なにそれ。それが結婚なの?」 「まあね。『もっとちゃんとして、まっとうに、きちんと』生きることにし…

〔日記〕用が終わるとともにやむ

印鑑証明を取るジロウに付き合って家を出る。 まだ15時だというのにすごく暗い。 分厚い雲がもりもりと湧き上がっていく。 世紀末のようだ。 市役所に着くと同時にぱらぱらと雨は降り始め、用が終わるとともにやんだ。

白濁(二十二)

大学を卒業してから、同性の友達ができなくなった。それは、坂井とばかり会っていたからではあるけれど、それだけじゃないと思う。例えば、懐かしい男友達から連絡があれば、すぐさま東京にまでも出掛けて行くのだから。

〔日記〕両極端の世界を見た

公共と、まつろわぬ民。 両極端の世界を見た。 どちらもどちらのことを理解していなかった。 じゃあ、おれは理解しているのか? いや、おれはそういう意味じゃ、やっぱり自分のことしか関心が持てないのだ。 過去の自分を救うようにしか、他人には手を差し伸…

〔日記〕オジサンたちしか出てこない

ひさしぶりに『南極料理人』を観る。 オジサンたちしか出てこないところが素晴らしくいい。

8月8日に開くという「ライオンズゲート」って何? もろもろの不調はこのせいだったのか!

この頃、やたらと「ライオンズゲート」という言葉を耳にする。 Googleで検索してみると、2015年くらいからライオンズゲートに関する記事が多く見られるようになってきているようだ。 それは8月8日をピークに訪れる、スピリチュアルで言うところの宇宙エネル…

〔日記〕エラそうで生意気で

そうか、もう組織の中の一員として、小さく背中を丸めていなくてもいいんだ。 エラそうで生意気でいていいんだ。 憧れていた人たちと、一人の人間として友達になっていいんだ。

〔日記〕それがその人のやり方

事務仕事を近くで他の人がやっていると、「あー、もうっ!」と手を出したくなってしまう。悪いクセである。 そうやって何でも手を出して、何でも抱え込むからウツになるのだ。 効率が悪そうでも、要領が悪そうでも、それがその人のやり方であって、いちばん…

〔おすすめ本〕酒の肴にもなる手軽メシ『おとなのねこまんま』

「ねこまんま」と聞いてあなどるなかれ。 酒のアテにもなり、小腹も充たしてくれる、なおかつ、お得で手軽なお料理(?)なのだ。

そんな無責任は許されない?〔アメブロ〕

仕事と、芝居。 両方始めたからには両立させようともがいていた。 万が一両方はダメでも、どちらか片方だけは続けたいと。 でも結局ウツになって、仕事はできるような状態じゃなくなって、 かといって 芝居だけに集中しようとしても、 結局はあれもこれもと…

白濁(二十一)

高橋はシャワーを浴びようとはしなかった。全裸のまま、布団の上で仰向けに横たわっている。棒切れみたいな、痩せて色白の体。やけに太いすね毛がよく目立つ。その目は天井に向けられていた。私は、白い腹に手を伸ばした。すべすべして、少し冷たい。呼吸は…

〔日記〕こんにちは警報

坐禅をして、海へ散歩に行こうとしていたけれど、波浪警報が出てしまったので諦める。 ジロウに「こんにちは警報が出たよ!」と自慢する。

〔日記〕とりあえず台所で踊る

再び「Standland」を導入してみる。 Apple Watch に呼び出すとたいへんかわいい。 体調悪くて寝込んでいても、1時間に1回は立ち上がって何か片づけようという気持ちになる。 特に片づけるものがないときは、とりあえず台所で踊る。

白濁(二十)

三軒目にアパートの近くのエスニック料理屋で呑んでいたときには、だいぶ酔っ払っていたに違いない。ラム酒をロックでたらふく呑んだ。布袋さまのタグがついたラム酒、パイレート。 他のラムよりも少し高いけれど、ラムネのようなすっきりとした甘さ、さらさ…

〔日記〕間違えて発音すると大変なことになる

洗濯をしてから、散歩。 今日はビニール系のゴミがいっぱい漂着している。 これを拾うと面白いかな、と思う。 ところで、「ビーチコーミング」はいいけれど、 「ビーチクリーニング」は、 切るところを間違えて発音すると大変なことになるね。

うつ病は私の人生にとってギフトだった〔アメブロ〕

33才にして、演技の経験も無いのに劇団に入り、 「いやぁ、私はいつまで自分探しをしてるんだろう」と思ったのだ。 そのことを何かで書いたら、演出家がそれを読んで私の役柄(未亡人のお嬢様)に 「自分探しを続けるお嬢様」という設定を書き加えた(脚本そ…

白濁(十九)

「たまにはもう一軒、一緒にいかがですか」 と高橋が言うので、敷居が高くて一人ではなかなか入れなかった焼き鳥屋を提案した。噂によると、混んでいる日には一見さんは「予約でいっぱいだから」と断られてしまうらしい。 小町通りの路地裏のその店は、今日…

〔日記〕原マスミのライブなのだ

原マスミの歌には、海や夜、月に星、そして死が散らばっている。 2回目のアンコールで歌ってくれた「夜の幸」間奏での、宮澤賢治の『注文の多い料理店』序の朗読がまた素晴らしかった。

その仕事はなんのためにしているの?〔アメブロ〕

大学を卒業して図書館司書になった。 図書館の窓口業務や配架業務を委託請負している会社の契約社員という立場になる。 定められた仕様書の範囲内のルーティンワークだ。 小中高と万年図書委員だったから、今までやってきた好きなことでお金がもらえるという…

白濁(十八)

鎌倉に越してきてからは、ハイヒールを履くのをやめてしまった。なんというか、このまったりとした空気感にとんがった靴は似合わないのだ。休みの日は、真冬以外はビーチサンダルばかり履いている。そのまま砂浜に降りられるし、気が向けば海水に足を浸した…

〔日記〕金ぴかの阿弥陀様にご挨拶

掃除と洗濯、坐禅をして、散歩に出掛ける。 今日は足があまり砂で汚れなかったので、光明寺の本堂内に上げてもらう。 金ぴかの阿弥陀様にご挨拶をする。 蓮の花がきれいだった。 砂浜には、なぜかウツボが打ち上がっていた。

白濁(十七)

「白石さん、センスありますよ」 アルゼンチンタンゴの先生が言う。先生というにはまだ可愛らしい、私よりも少し年下の青年だ。 「そうですか?」 「ええ。アルゼンチンタンゴは、我の強い女性にはちょっと向いていないんです。男が次にどんな動きを仕掛けて…

〔日記〕ジャケットやスーツをみんな処分する

過ぎていった過去のことを思い出して、度々怒りに駆られる。 楽しかったこともいくつもあったはずだが、回想の起点となるのは怒りだ。 人に好かれたいと思えば、都合の良い人間になってしまう。 なんでもやってあげるのがあたりまえになってしまえば、抑え込…

白濁(十六)

「わざわざありがとうございました」 「いえいえ、別にすることもなかったし」 それは本当だ。予定の無い土曜日、坂井にメールしてみたところで返事が返って来ないのはわかっている。 「そうだ、白石さん、Facebookってやってますか?」 「一応。登録はした…

〔日記〕独学から始めるのがいい

新しく何かを学ぼうと思ったときに、大学に通うというのもひとつの手段ではあるけれど、独学できるものは独学から始めるのがいい。 大学は「どうやって学ぶか」を学ぶところだ。 学ぶとは、その先に自分で行くことだ。

〔日記〕いつでも豊かに満ち足りている

お金をいくら持っていても「お金がない」と思っていればそれは貧しい人生だ。 世間体や見栄にしかお金を使えないのも虚しいことだ。 いつでも豊かに満ち足りている。 お金で装わなくても、そのままで素晴らしいと自分で認めればいい。

白濁(十五)

ギャラリーの入り口がわからなくて、何度か通り過ぎてしまった。住宅地の中に建つ無機質なビルの、わざと見つかりづらいように造ったみたいにみえる狭い階段を昇った先に、高橋修二の個展会場はあった。

〔日記〕そのまままだ遂げていない

ノートの移し替え作業。 2月に「やりたい」と思いついて、そのまままだ遂げていないやりたいことが結構あることに気づく。 12月の終わり頃から始めたノートは、ついに17冊目になった。 10日で一冊書き終わるペースだ。

白濁(十四)

ポストカードの写真はやけに暗かった。コンクリートの壁と、そこに這う錆びた金属の棒。それらは複雑に絡まって、中途半端な蜘蛛の巣のように見える。 カメラマンの名前は、高橋修二。 「高橋さんっておっしゃるんですね」 「ああ、まだ名乗ってなかったです…

〔日記〕手を伸ばしても届かない恋

好きすぎるが故に手を出せなかった歴代好きな人たちと男友達が夢に出てくる。 そのひとりの下宿で、久しぶりに飲み会をするのだ。