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醒メテ猶ヲ彷徨フ海

野原海明(のはら みあ)のWeb文芸誌

〔日記〕「このさきやってみたいこと」

雨。凍えながらドラッグストアで買い物をする。銀行でOpenGLAM JAPANの税金の支払いと、自分の税金の支払い。竹翁でカレーうどんを食べたかったが、あいにく開店が11時45分から。それだと、午後の会議にちょっと間に合わない。ぶらぶら歩いて開いている店を…

思うように進まないのが仕事である

仕事をしていると、思うように進まないことはよくある。せっかくここまで積み上げてきたのに、「やっぱりこうすることになりました」と言われて、(それって、まるっきり逆方向じゃーん、ちょっと待ってー)と思うこととか。

終わりなき銀河に旅立つために ~水族館劇場 東京報告会 に行ってきた。

水族館劇場という役者徒党がある。鎌倉の立ち飲み屋、ヒグラシ文庫に通うようになって、その存在を知った。寄せ場を中心に各地を流浪し、野外劇を続けている集団である。ヒグラシ文庫の店主、中原蒼二氏がこの劇団のプロデューサーだ。古本遊戯 流浪堂を会場…

文学って何だ!?

お絵かきの延長で漫画を描くようになって、小学校高学年になるとちょっと背伸びしてファンタジーを書くようになった。メルヘンでなく、血みどろに戦ったり、世界が終わったりする暗いやつを。高校ではログインすればパソコンが自由に使えるので嬉しくて、と…

〔日記〕 渋谷

雪空、 痒いところを 掻く 山頭火 一月十四日 曇、降りさうで降らない雪模様。しかし、とにかく、炬燵があつて粕汁があつて、そして――。 東京の林君から来信、すぐ返信を書く、お互に年をとりましたね、でもまだ色気がありますね、日暮れて途遠し、そして、…

本を出すということ

曇り日の 重いもの 牽きなやむ 山頭火 一月十二日 曇、陰欝そのものといつたやうな天候だ。 外は雪、内は酒――憂欝を消すものは、いや、融かすものは何か、酒、入浴、談笑、散歩、等、等、私にあつては。 種田山頭火 行乞記 三八九日記 「小説家の卵の」 「小…

〔日記〕 故郷は遠く、遠い。ただ草津を歩くことにする。

一月十一日 曇つて晴れる、雪の後のなごやかさ。 あんまり寒いから一杯ひつかける、流行感冒にでもかゝつてはつまらないから、といふのはやつぱり嘘だ、酒好きは何のかのといつては飲む、まあ、飲める間に飲んでおくがよからう、飲みたくても飲めない時節が…

〔小説〕 鏡台

街の 雑音の 密柑むく 山頭火 一月七日 曇、后晴、寒くなつた、冬らしくなつた(昨日から小寒入だ) 銭がなくなつた、餅もなくなつたし米もなくなつた(銭は精確にいへば、まだ十三銭残つてゐるが)。 朝は腹も空いてゐないからお茶を飲んですます、午後は屑…

〔日記〕此岸

灯が一つあつて 別れてゆく 山頭火 一月五日 霧が深い、そしてナマ温かい、だん/\晴れた。 朝湯へはいる、私に許された唯一の贅沢だ、日本人は入浴好きだが、それは保健のためでもあり、享楽でもある、殊に朝湯は趣味である、三銭の報償としては、入浴は私…

〔日記〕 「素顔美人を目指しているんですか?」

一月四日 曇、時雨、市中へ、泥濘の感覚! やうやく平静をとりもどした、誰も来ない一人の一日だつた。 米と塩――それだけ与へられたら十分だ、水だけは飲まうと思へば、いつだつて飲めるのだが。 種田山頭火 行乞記 三八九日記 ジロウ(ダンナ)と出かける準…

お互い「安定した仕事を辞める」ところから始まった新婚生活

一月三日 うらゝか、幸福を感じる日、生きてゐるよろこび、死なゝいよろこび。 当座の感想を書きつけておく。―― 恩は着なければならないが、恩に着せてはならない、恩を着せられてはやりきれない。 親しまれるのはうれしいが、憐れまれてはみじめだ。 種田山…

「編集者になれ」ってそう簡単に言うけどさ

酔へばけふも あんたの事 山頭火 2015年最後の入日 一月二日 曇后晴、風、人、――お正月らしい場景となつた。 暁、火事があつた、裏の窓からよく見えた、私は善い意味での、我不関焉で、火事といふものを鑑賞した(罹災者に対してはほんたうにすまないと思ひ…

〔日記〕 戦場へ赴く人

誰もが 忙しがつてる 寒月があつた 山頭火 十二月廿九日 晴、紺屋町から春日駅へ、小春日和の温かさ。 ルンペンは一夜の契約だが、今の私は来年の十五日までは、こゝにゐることが出来る、米と炭と数の子と水仙と白足袋とを買つたら、それこそおめでたいお正…

酒場で酔い痴れた女

酔へば人が なつかしうなつて 出てゆく 山頭火 十二月廿八日 曇、雨、どしや降り、春日へ、そして熊本へ。もう三八九日記としてもよいだらうと思ふ、水が一すぢに流れるやうに、私の生活もしづかにしめやかになつたから。―― 種田山頭火 行乞記 三八九日記 呑…

ライターの顔

十二月廿七日 晴、もつたいないほどの安息所だ、この部屋は。 ハガキ四十枚、封書六つ、それを書くだけで、昨日と今日とが過ぎてしまつた、それでよいのか、許していたゞきませう。 種田山頭火 行乞記 (一) ライターを始めた最初の頃の仕事は、あらゆる品…

委託業務から得たノウハウは還元すべきもの……か?

アウトソーシングの会議を隣で聞いていた。「アウトソーシングの業務を受けて得た気づきを、受注している会社にフィードバックすること」。なるほど、外部委託というのは、ただ仕事をお願いするだけじゃなくて、働く上で得たノウハウを共有してもらう必要が…

なぜ完璧なスケジュールを立てても、そのとおりにできないのか

スケジュールを立てるのは好きなのだが、なかなかうまくいかない。完璧なスケジュールを立ててみる。この通り進めば、楽勝で仕事は終わるとわかっている。でも、できない。特に、最初の予定が崩れ始めると、とたんに嫌になって放り出してしまう。わかっちゃ…

「幸せになるため」なんかじゃない。一緒に人生を冒険すると面白そうだから、結婚しましょ。

鎌倉に越してきて、一番最初にできた友達がミネくんだった。2009年の8月に鎌倉に越して、ミネくんが当時勤めていた美容室に始めて行った2010年6月までは、一人も顔なじみがいなかったのだ。そしてその頃、まだおれは野原海明じゃなかった。鎌倉でおれの古い…

「女」に「家」と書いて、嫁。

結婚式続きの週末だった。 「披露パーティーとか、おれたちもする?」 とジロウが訊く。いや、でも「両家のなんとか」とか、「親族一同」とかをやらなくちゃいけないのなら、それはいやだなぁと思う。おれは自分の家や親から逃れるために、籍を入れたのだか…

本当にやりたいことは、余暇に後回しにしちゃいけない。

「海明ちゃん、最近は何の仕事してるんだっけ?」 と訊かれると、どう答えたらいいか悩む。 「うーん、四足くらいワラジ履いてる」 「えっ? どんな」 「えーと、とりあえず図書館はまだ続けてるよ。大学図書館から公共図書館に移ったけど」 「それから?」 …

楽なことだけ仕事にしている人生は退屈だ

おれに本当にそんな仕事ができるんだろうか......と、暗澹たる気持ちで身支度をする。これまでの仕事があまりに楽すぎたのだ。楽の上にあぐらをかいていれば定期的に収入が得られたものを。でも、それでは生きている時間の殆どが暇潰しになってしまう。「ち…

書く行為はほとんど自慰である。

この四月から五月にかけて新しい仕事をふたつ始めて、休みなしフル稼働でやってきたので、今日はちょっと一息をいれることにした。これからおれの休みは「毎週末に定期的に与えられるもの」ではなく、「自分でいつ休むか決めるもの」に変わる。昨日の朝は身…

〔随想〕 ショートヘア

細くてやわらかく、天然パーマなのですぐに絡まる。乾燥しやすく傷みやすいのに、ずぼらなのでろくに手入れをしていない。美容師泣かせの髪をしている。小学生まではずっと髪を伸ばして三つ編みにしていたが、母親に「中学生になってまでそんな長い髪をして…

〔随想〕成人の日

成人式も卒業式も結婚式も法事もせず、生きてきた。斜に構えてそういうことのすべてを莫迦莫迦しく思ってきたが、二十代も最後の年になって、駅前で振り袖の女の子を見かけたりなんかすると、やっぱりちょっとだけ羨ましいような気もしなくはない。着物には…

学生街、早稲田。

大学四年のころ、授業が週に一時間しかなく暇だったので仕事を始めるつもりでいたが、結局身体を壊してしまい通院の日々になった。日が高くなってから起き出して、一日おきに病院へ行く。いつも混んでるし予約が出来ないので、たくさん本を持って行く。病院…

〔随想〕ホーム

上京して初めて住んだ町は東村山。治安の悪さと大学までの遠さに辟易して、早稲田へ越した。早稲田は本屋と喫茶店と公園の充実した良い町だったけれど、海と山のある日々に焦がれた。いつかは鎌倉に棲みたいと思っていたけど、それは勤めなくても稼げるよう…