醒メテ猶ヲ彷徨フ海|野原海明 @mianohara

野原海明(のはら みあ)のWeb文芸誌

B:おすすめの本-小説

〔おすすめ本〕『星を継ぐもの』月で発見された宇宙飛行士の死体は、五万年前のものだった……?

冒頭部分の描写はまだるっこしさを感じてしまうが、我慢して読み進めていくと、あるところからグッと引き込まれるのを感じるだろう。謎が謎を呼び、ひとつ謎が解けるたびにさらに謎が増えていく。

〔おすすめ本〕口で味わいたくなる鉱物図鑑 ~ 長野まゆみ『鉱石倶楽部』

図書館で見つけたその本は、一見は鉱石図鑑のようだった。石の写真があまりに美しかったので手に取ったのだが、解説文を読んでみると、どうもおかしい。

〔おすすめ本〕檻から出た獣が最後に犯した「罪」とは? ~ 薬丸岳『ラストナイト』

顔には豹柄の刺青、左手は義手。何度も罪を犯し、その半生の殆どを刑務所で過ごしてきたた片桐達夫。59才になった片桐が刑務所を出てからふらりと顔を出したのは、30年来の友人である菊池正弘の居酒屋「菊屋」だった。ラストナイト作者: 薬丸岳出版社/メーカ…

〔おすすめ本〕自分の心のなかが、いちばん遠い。~ 三浦しをん『まほろ駅前多田便利軒』

主人公の多田啓介は、まほろ市で細々と「多田便利軒」という便利屋を営んでいる。多田便利「屋」ではなく、ラーメン屋みたいに「軒」にしたのは、行天春彦いわく、 語呂が悪いから? 『便利屋多田』だと、だと、やっぱり『便利屋タダ』みたいだしね*1 という…

〔おすすめ本〕南無阿弥陀仏とは、「はい? 阿弥陀さま」という返事だったのか ― 五木寛之『親鸞』

人間臭さを感じさせる親鸞。五木寛之の『親鸞』は三部からなる長編小説だ。第一部には、貴族の子として育った八歳から、親鸞と名乗るようになり、越後へ流されるまでが描かれる。 「南無阿弥陀仏と念仏を唱えれば誰でも極楽浄土へ行ける」と教える法然の弟子…

〔おすすめ本〕山田詠美『放課後の音符(キイノート)』

主人公は「私」。高校二年生、十七才。 男の子とつきあったこと、なし。セックスも、まだ知らない。 両親は離婚をしている。母親に若い恋人ができてしまったから。 いまは父親と二人暮らし。 上級生のとある男の子や、幼なじみの純一が、ちょっと気になるこ…

〔おすすめ本〕鎌倉は「もしもし下北沢」に似ている町かもしれない。~ よしもとばなな『もしもし下北沢』

電子版も出ている『もしもし下北沢』。市川準監督「ざわざわ下北沢」へのオマージュ?もしもし下北沢作者: よしもとばなな出版社/メーカー: 毎日新聞社発売日: 2010/09/25メディア: 単行本 クリック: 53回この商品を含むブログ (46件) を見る主人公のお父さ…

〔おすすめ本〕谷村志穂 『海猫』

漁村に嫁ぐ花嫁。あまりにも美しく白く透き通った、漁師の村には似合わない女。彼女の母親は強い女である。ロシアの血をひく男と添うためにすべてをなげうって生きてきた。娘の薫は父の血を受け継ぎ、まるで海猫のような青い瞳をしている。海猫〈上〉 (新潮…

〔おすすめ本〕谷村志穂 『なんて遠い海』

あけましておめでとうございます。 実家に帰って、十代の頃に買い集めていた本たちを懐かしく手に取りました。なんて遠い海 (集英社文庫)作者: 谷村志穂出版社/メーカー: 集英社発売日: 2001/10/01メディア: 文庫 クリック: 2回この商品を含むブログ (3件) …

〔おすすめ本〕結婚は、むろん「幸せ」とは別物だ ~江國香織「薔薇の木 枇杷の木 檸檬の木」

気がつけば知り合いが次々と結婚していく。「私一生結婚しないかも」と言っていた人は、さっさと入籍してお母さんになった。「いい男がいないのよ」と言っていた人は、もうすでに二児の母。しばらく会っていなかった同級生は、いつのまにかパパになっていた…

〔おすすめ本〕瀬戸内晴美 「中世炎上」

中世炎上 (新潮文庫)作者: 瀬戸内晴美出版社/メーカー: 新潮社発売日: 1989メディア: 文庫この商品を含むブログ (2件) を見る室町時代、後深草院二条という女房によって書かれた「とはずがたり」。この手記は昭和十五年になってようやく時代の光を浴びました…

〔おすすめ本〕井上靖 「額田女王」

額田女王 (新潮文庫)作者: 井上靖出版社/メーカー: 新潮社発売日: 1972/11/01メディア: 文庫 クリック: 16回この商品を含むブログ (16件) を見る井上靖さんの本はちゃんと読んでみたいと思い、「しろばんば」を以前借りてきたのですが、途中で挫折。どうやら…

〔おすすめ本〕女人成仏 ~ 瀬戸内寂聴 「釈迦」

仏教説話に描かれた女性観を探る、という授業をとった。扱われる資料という資料に、みな男尊女卑の考えが見られる。女は愛欲にひた走る、女は嫉妬にとらわれる。女には血のけがれがある。ゆえに女は仏にはなれない。そ、それは一体どういうこと!?というわけ…

〔おすすめ本〕江國香織 「神様のボート」

淡々とすすむ日々。けれどそこはいつも狂気でみちている。神様のボート (新潮文庫)作者: 江國香織出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2002/06/28メディア: 文庫購入: 6人 クリック: 71回この商品を含むブログ (178件) を見る葉子と草子の親子は、母と私の関係と…

〔おすすめ本〕女の艶と欲情 ~ 瀬戸内寂聴『女徳』

さんざん、女としてしたいほうだいしつくして、浮世にあきたら、さっと頭まるめて尼になって、色気ぬけてもまだ、大の男がなんぼうでも奉仕者になってあらわれる。生まれながらの人徳やのうて、これこそ女徳ですわ。*1 女徳 (新潮文庫 (せ-2-2))作者: 瀬戸内…

〔おすすめ本〕金で買えない女はいない、が…… ~ 瀬戸内寂聴 『色徳』

六歳で女を知り、以来千人斬りと称されるほど数多くの女と渡り合った鮫島六右衛門。 まるで昭和の源氏物語のようなこの小説は、実在する人物をモデルにして描かれたそうだ。年老いた六右衛門を中心に、回想場面を孕んで展開していく。 幼いころ初めて関係を…

日々の生活こそが魔法 ~ 梨木香歩 「西の魔女が死んだ」

やらなくてはいけない仕事を後回しにして昼となく夜となくだらだら過ごしていると、ふと思い出す本がある。梨木香歩『西の魔女が死んだ』。新刊本を書店で見かけた時は、「これはタイトルからしてファンタジー……しかもホラー?」と思って尻込みしていたが、…