現実は厳しいなんて云わせない ~ 行定勲監督「ロックンロールミシン」
堅苦しいスーツに身を包んで「俺の夢ってなんだったっけ」とぼんやり思いふけっているときに、夢しか見えていない高校時代の同級生にばったり会ったとしたら。ついついネクタイなんか放り出して、自分も夢を追いかけている気分になりたくなるかもしれない。
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デザイナーズ・ブランドを立ち上げようとしている、高校時代の同級生・凌一(池内博之)。ひょんなことから彼と再会した会社員の賢司(加瀬亮)は、仕事を辞めて彼らの仲間に加わわることになる。それは会社勤めよりも刺激的に見えたけれど、楽しいことばかりではもちろんない。
- 作者: 矢沢あい
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映画「ロックンロールミシン」は、浪人時代に夢中で読んでいた『パラダイスキス』を思い出させる。「パラダイスキス」の主人公は高校生だが、「ロックンロールミシン」と同じように、夢を追う友人たちに感化されていく。 夢追い人の結末も、なんだかちょっと似ている気がする。
夢を追って生きるか、堅実にサラリーマンをやって生きるか。好きなことばかりやって生きていくのも決して楽じゃない。食べていかなきゃいけない。そしていつも自分の壁にぶつかる。ここから先、どうやって生きていけばよいのだろうと。
「現実は甘くないよ」
夢を生きたことのない人はいつもそう云う。夢を生きてきた人の口から同じ言葉を聞くことはほとんどない。厳しさは実感しても、それ以上に欲しいものがある。安定した収入や単調な毎日よりも、光に満ちた日々を選びたい。たとえ歩んでいく道筋で、自分や他人を傷つけることになっても。
ミシンを踏む凌一の背中に、椿(りょう)がタトゥーを彫るシーンがあった。あまりに小さな翼。でもそれは、夢へ向かって羽ばたくための確かな翼なのだ。
- 作者: 鈴木清剛
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