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醒メテ猶ヲ彷徨フ海

野原海明(のはら みあ)のWeb文芸誌

異性だから恋になるとは限らない。 ~ 行定勲監督 「贅沢な骨」

映画

誰にも渡したくない。この世で一番、大切な人。

贅沢な骨 [DVD]

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女同士の友情は、良く分らない。どんなふうに接すれば良いか悩んでしまう。

いちばん安らぐのは、男の子たちの中に紅一点でまじること。でもそこで感じる安らぎは、異性であるがゆえに周りが気を使ってくれているからこそ、得られるものなのかもしれない。

女同士の友情は、もっと過酷。酸いも甘いもぶつけ合う痛み。反対に、そんなガードのない関係でなければ得られないものもある。いくら身体を重ねてもわかりあえない男女の溝を、女友達は一瞬にして乗り越える。

「男女間の友情は成り立つのか」「異性の友達と親密になり過ぎると恋になってしまうのではないか」なんてよく聞く話。でもそれは異性に限定されることではないような気もする。

異性の友人であっても、どんなに仲良くなっても恋には発展しないこともある。同性の友達であっても、嫉妬に狂わされることもある。それは時に、恋人に対する嫉妬よりも強烈に。女同士であるからこその激しい独占欲。

ワタシダケノトモダチデイテホシイ。身体で繋がることができるから欲しいと思うのではない。身体で繋がれないからこそ、つのる欲望がある。人は人と繋がっていないと生きていられない生き物。それなら恋ってなんなのだろう。誰かの心も身体も、全部自分のものにしたいと思うこと?

「それって贅沢な悩みだよね」という会話で始まる『贅沢な骨』。でも悩んでいる当人は贅沢だなんて楽観視できない。他人から見たら贅沢に見えるかもしれないけれど、そんなこと言っていられない。

お金もあるし、大切な人もいる。だけれど、もっと欲しいものがある。でもどうしても手には入らない。息が苦しい。女二人に男一人。親友同士が同じ男性を好きになって……という、よくある三角関係の話ではない。

屋台で貰った金魚。一匹は自分ですくった。残りの二匹はおまけ。おまけの二匹とは誰のこと?

男と女だから、それが恋になるとは限らない。