醒メテ猶ヲ彷徨フ海

野原海明(のはら みあ)のWeb文芸誌

天才は神様と競争する ~ 望月六郎監督 「かまち」

現役大学生でありながらプロ作家として活躍している人もいる。自分と同じような年齢の人が次々に本を出して話題になっているのを見ると、妬む気持ち、焦る気持ちが心の中で渦を巻きく。

そんなときに出会ったのが『かまち』という映画だった。主人公はおれと同郷の少年、山田かまち。実在の人物だ。絵が好きで、ビートルズが好きで、自分の思いのたけをノートにぶつけていた。まだ高校生のうちに、エレキギターに感電してこの世を去った。

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映画のなかで、忘れられない科白がある。彼の先生の言葉だ。

「誰か他の人間と競争しているうちはまだまだだ。天才は、神さまと競争する」

自分と同い年の人が活躍しているのを見て妬んだり焦ったりする必要は無い。若くして世間にもてはやされることが成功じゃない。本当に自分の作品を高めようとする人は、他の誰かと自分を比べるのではなくて、自分の中で常に上を目指す。

神というと宗教のイメージが強くなってしまうかもしれないけれどそうではなく、人間が届かないところで世界を操っている、何か大きな力のこと。

「生まれながらに持っている才能」なんて知らない。自分は天才だと思い込めばそれでいい。傲慢でも、夢に向って走り続ける。見えない力と競いながら。

 テストを受ける時は山田かまちだと思うより、
 テストを受け完全な答えを出して点をとるためだけに
 存在するコンピューターロボットだと思ってやれ!
 自分はテストをやるためだけに存在する、
 機械だと思うんだ!

17歳のポケット (集英社文庫)

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