醒メテ猶ヲ彷徨フ海|野原海明のWeb文芸誌

野原海明(のはら みあ)のWeb文芸誌

塩加減は自分の感覚を信じる ~ 高橋みどり 「おいしいヒミツ」

『おいしいヒミツ』は、スタイリストの高橋みどりが、五人の料理家(有元葉子、高山なおみ、たなかれいこ、長尾智子、米沢亜衣)とつくった本だ。

ひとりひとりに違う「食べる」があって、「おいしい」がある。それぞれの料理家の考え方と、名刺代わりの一品、自分の為につくる五品が紹介されている。

おいしいヒミツ

おいしいヒミツ

高橋みどりを知ったのは、雑誌『ku:nel』だった。毎号、いろんな人から伝え聞いた「伝言レシピ」を手書きで紹介されている。どれもシンプルで、思い立ったらすぐできるものなのだけれど、つくってみるとびっくりするほど美味しい。すっかりみどりさんのファンになった。

ku:nel (クウネル) 2006年 03月号

ku:nel (クウネル) 2006年 03月号

この本を読んでわかったのは、全くレシピのままにつくっても、本当の「おいしい」には辿りつけないということ。トマトはトマトであってもどれも同じ味のものは無いし、そのときの気候によって調理時間も変わる。大切なのは、経験と、自分の舌に自信をつけることだろうか。

これはいわゆる料理本を作ったわけではないので、堅苦しくはしたくなかったし、分量や作り方もあくまでも目安程度と思いましょう。全く同じにならなくたって、その目安から自分のおいしいを探ってみてください。*1

素材をさわりながら自分のセンサーが働く。塩加減が決まる。だから料理教室の生徒さんには、自分の感覚で覚えてほしいから「本を見ないでください」って言いたい。*2

*1:高橋みどり「はじめに」 『おいしいヒミツ』メディアファクトリー, 2005.7, p.5

*2:高山なおみさんのおいしいって何?」『おいしいヒミツ』以下同右