こんなこと言われたら、男はひいちゃいますけどね
平安文学の授業での話。
平安朝の短歌について説明したあと、先生は現代の短歌を引き合いに出した。
「この味がいいね」と君が言ったから七月六日はサラダ記念日*1
言わずと知れた、俵万智さんの短歌である。
サラダ記念日 (河出文庫―BUNGEI Collection)
- 作者: 俵万智
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平安朝の歌との共通点や、この歌の斬新さを述べた後、まだ若い男の先生はぽそりと呟いた。
「こんなこと言われたら、男はひいちゃいますけどね」
真面目そうな先生が苦笑いを浮かべながら呟いたので、思わず吹きだしてしまったが、はて、吹きだしている場合か。二十一世紀を迎えても、男と女の間には深くて暗い川がある。
何でもかんでも大切な日として記念に残したい乙女心もよくわかれば、けーっ、面倒くせぇ!と思う男心も想像できてしまう。困ったものだ。ここは男心をおもんぱかって衝動を抑えるべきか、想いのままに突き進むべきか。ほんに、男女の仲は難しい。