向田邦子の死に様 ~ 小林竜雄 「向田邦子 最後の炎」
- 作者: 小林竜雄
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2000/10
- メディア: 文庫
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向田邦子、乳がんの発症から台湾での飛行機事故による突然の死までの六年間を、彼女と関わりのあった人とのインタビューをもとにして描きだしたノンフィクションである。
序章
第一章 隠された孤独なたたかい
第二章 <故郷もどき>への旅
第三章 <父>のルーツへの旅
第四章 <小説>への熱き想い
第五章 本当の<故郷>を求めて
癌によって急に身近に迫ってきた死というもの。それに抗うように、必死に生きようとした向田さんの姿が見えてくる。恐ろしく密度の濃い六年間だ。
それにしても言霊とは怖ろしいもの。久世光彦に言った「母親より先に死にたいわね」という言葉*1。荻原健一に語った「苦しんで死ぬのは嫌なの。飛行機事故、それも空中爆発で一瞬のうちに死んでしまいたい」という言葉*2。冗談だったのか、本気だったのか。どちらにしても、口に出した言葉はその瞬間に力をもってしまう。