醒メテ猶ヲ彷徨フ海

野原海明(のはら みあ)のWeb文芸誌

映画館はまだまだ修行の場

映画館は苦手なのだ。何が苦手かって、真暗になってしまうのが苦手なのだ。音が大きいのが苦手なのだ。近くにいる人が気になってしまうのが苦手なのだ。トイレに行きたいときに一旦停止ができないのが苦手なのだ。そんなもろもろが合わさって、具合が悪くなってしまうのがとにかく苦手なのだ。

と、言っていても仕方がない。映画作品には、家の小さなテレビで観てはわからない仕掛けがあるはず。映画館で観て初めて、感じられるものがきっとある。

そんなわけでちょっとずつ映画館に慣れなくてはと思い、小さな二本立ての映画館に足を運んでみた。一本目。後ろの人が立てる物音が気になる。ガサガサ、ドサ、ドスン、はぁー、ヘックション。気にしていてもしょうがないとはわかっているのだけれど、後ろの人が体勢を変えるたびに私の座席がぐらぐら揺れるので、気持ち悪くなってしまう。冷や汗をかきながら、どうにか集中しようと堪える。一本目が穏やかな「カーテンコール」でよかった。映画館が舞台の物語なので、スクリーンの中にも客席とスクリーンが映り、二重に。合わせ鏡を覘いているような感覚だ。

ニ本目。一本目を教訓に、人が少ない端っこの、一番後ろの席を陣取る。快適だ。他の観客の反応を見て楽しむ。エッチなシーンのたびに伸びをする青年、とか。あちこちから笑い声が上がるのが愉しい。見知らぬ人と作品を共有する楽しみ。

みっちりと二本立てを堪能してきた後だが、つい夜中にテレビでも映画を鑑賞してしまった。今日は計三本。こんなに映画三昧をしたのは初めてだ。