醒メテ猶ヲ彷徨フ海

野原海明(のはら みあ)のWeb文芸誌

古典の小悪魔、朧月夜の君。 ~ 大和和紀 「あさきゆめみし 源氏物語 2」

読み出せばとまらぬ、源氏物語。千年もの時を越えても、人の情けとはこうまで変わらないものなのか。自らを戒めながらも怨霊に身をやつす六条の御息所の苦しみ、痛いほど。

あさきゆめみし(2) (講談社漫画文庫)

あさきゆめみし(2) (講談社漫画文庫)

何で読んだのか忘れてしまったが、六条のファンは女性に多いらしい。それはそうだ、男性にとって、六条の御方のような熱意は重荷になるだけなのだろう。嫉妬のあまり生霊となる。女である私には身につまされる話なのだが。

男性が好むのは、朧月夜の君であるらしい。派手で危険をかえりみない、小悪魔のような彼女の魅力。

「あさきゆめみし 2」で最も好きな場面は、須磨から都へ返り咲いた源氏と朧月夜の君との再会の一幕だ。若さゆえか、熱い恋の淵に自ら飛び込んだ朧月夜の君。かつての無謀な少女は、三年のうちにいづこへか消え去った。源氏との再会に微笑を湛えて涙を流す、その朧月夜の君の顔が忘れられない。そして、かつて愛した者に向けられた、その科白も。