二十二歳の選択 ~ 向田邦子 「夜中の薔薇」
作者亡き後、最も早くに出版されたエッセイ集。「眠る盃 (講談社文庫)」の続編*1。
- 作者: 向田邦子
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1984/01/09
- メディア: 文庫
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前半の短い部もピリリと辛く、中盤の食べ物について綴られたものには思わず涎が零れてしまう。「向田邦子の手料理 (講談社のお料理BOOK)」とあわせて読むといっそう良い*2。
- 作者: 向田和子,講談社
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1989/05/22
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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ああ、しかし、忘れてならないのは最後の章の三篇だ。特に好きなのは「手袋をさがす」。彼女が二十二歳の頃のエピソード。誰かの嫁になるのが当たり前だった社会で、あえて自分の道を突き進んだ向田さん。
その選択は、ただなんとなくではなく、自分自身と向き合った結果であった。気に入るまで手袋を探す人生。気に入らない手袋を、自分に嘘をついてはめない事。そうして彼女が自らの人生を決めた、二十二歳という歳。
「ですます調」で書かれた文章は、媚を含む事が多い。だが、この一篇は、その媚びさえ飛び越えてしまっている。