醒メテ猶ヲ彷徨フ海

野原海明(のはら みあ)のWeb文芸誌

花散里の懐深さ ~ 大和和紀 「あさきゆめみし 源氏物語 4」

あさきゆめみし(4) (講談社漫画文庫)

あさきゆめみし(4) (講談社漫画文庫)

「源氏に登場する女の一人になれるとしたら、誰が良い?」
と聞かれたことがある。そのときはなんと答えたか忘れてしまったが、今答えるなら「花散里」だろうか。

たいして美しくない。けれど心は広く大らかで、源氏もその部分を慕っている。美しいが故の女同士の嫉妬の争いから一歩退いたところに立ち、常に笑顔で源氏を向かえ入れる。

そうして緩やかに、朗らかに生きていきたいと思う一方で、「朧月夜」の激しさにも強く惹かれる。政敵との恋に躊躇せず、帝を裏切ってまで恋に生きた女。朱雀帝の出家の後に訪ねてきた源氏に、身を許してしまうその危うさ。

安定と波乱。私の生きる道はどちらなのだろう。