花散里の懐深さ ~ 大和和紀 「あさきゆめみし 源氏物語 4」
- 作者: 大和和紀
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2001/07/31
- メディア: 文庫
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「源氏に登場する女の一人になれるとしたら、誰が良い?」
と聞かれたことがある。そのときはなんと答えたか忘れてしまったが、今答えるなら「花散里」だろうか。
たいして美しくない。けれど心は広く大らかで、源氏もその部分を慕っている。美しいが故の女同士の嫉妬の争いから一歩退いたところに立ち、常に笑顔で源氏を向かえ入れる。
そうして緩やかに、朗らかに生きていきたいと思う一方で、「朧月夜」の激しさにも強く惹かれる。政敵との恋に躊躇せず、帝を裏切ってまで恋に生きた女。朱雀帝の出家の後に訪ねてきた源氏に、身を許してしまうその危うさ。
安定と波乱。私の生きる道はどちらなのだろう。