醒メテ猶ヲ彷徨フ海

野原海明(のはら みあ)のWeb文芸誌

七月の決戦

七月。夏本番、より少し手前。一番好きな季節。これからやってくる夏の熱気が、一歩下がって控えている。夏休みはこれからなのだという、あの解き放たれた感覚。

しかし大学生の七月というのは、なかなかにしんどい季節である。普段のんびりと生息している分のツケ。テストとレポートの目白押しだ。

今期は小レポートがいくつもあり、息つく間があまり持てない。文章を書くのは好きだから苦にはならないが、資料を読み込むまでに時間がかかる。読むものが多いので、趣味の本を手に取れないというのが少しつらい。

さて、「向田邦子論」のレポートにとりかからなくては。昨夜は本屋めぐりをし、彼女の文庫本を何冊も買い漁ってきた。テキストと称しているが、半分は趣味である。図書館の書庫にも足を運んでみた。向田邦子作品の論文も、ちらほらではあるが発見する。

残された時間はわずか数日。一人になって集中しようと一度は心に決めるが、すぐに揺らいでしまう。甘え癖だろうか、恋人が会えると言えば拒むことができない。時間ばかりが過ぎていく。

いいのだ、会える時間はエネルギーを蓄えて、残ったわずかな時間に集中すれば。と、言い聞かせてみる。敵はレポートの締切ではなく、自分の心持だ。