大和和紀 「あさきゆめみし 源氏物語 5」
- 作者: 大和和紀
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2001/07/31
- メディア: 文庫
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絶世の美男子もやがて歳をとる。彼の中年の季節は、その栄光とは裏腹に、苦悩に満ちた日々であった。満たされぬ想い。こんなにも、愛されているのに。
若い日々の恋物語も魅力的だが、惹かれるのは彼が頂点を極めた後の物語である。過去の罪か報いか、その苦悩は己れが父院に与えたのと同じもの。
愛というものを知らない人。いっこうに答えてくれない人。それなのに恋しくてたまらない。今はまだ、柏木の想いの方がよくわかる。何年かが経ち、晩年の紫上と同じ程の歳になった頃にもう一度読み返したい。「女には嫉妬する自由さえないのですか」という呟きを、本当の意味でわかるのはまだ先のことだろうから。
それにしても、なんと美しい漫画なのだろう。間の取り方もなんとも素晴らしい。