醒メテ猶ヲ彷徨フ海

野原海明(のはら みあ)のWeb文芸誌

杉浦日向子 「百日紅 (上・下)」

江戸を描かせたら天下一品。杉浦日向子さんの漫画です。残念ながら昨年亡くなられてしまいましたが……

百日紅 (上) (ちくま文庫)

百日紅 (上) (ちくま文庫)

百日紅 (下) (ちくま文庫)

百日紅 (下) (ちくま文庫)

NHKの「お江戸でござる」が好きで良く見ていて、杉浦さんのお顔は前から拝見していたのですが、彼女が漫画家であったことは最近知りました。内田春菊さんが描いた杉浦さんへのオマージュ、吉原を舞台にした漫画を読んだのが出会いでした。

ベッドの中で死にたいの (文春文庫)

ベッドの中で死にたいの (文春文庫)

どこかうら悲しい物語と、女郎らの「〜でありんす」という言葉遣いに惹かれて、いづれ杉浦さんの漫画を読んでみたいと思っていたのです。

「百日紅」は、北斎とその娘のお栄、そして居候の善次郎(後の渓斎栄泉)が主人公。いけしゃあしゃあとしたテツゾー(北斎)、美人じゃないけど気風のいいお栄ちゃん、女たらしだけれど憎めない善次郎。出てくる人出てくる人が皆魅力的で、読み終えてしまうのが惜しいほど。ひょっこり顔を出す脇役の国直くんやお政さんもいい味出しているのです。

女性が描いた時代物は、顔つき体つきが現代の少女漫画風になってしまっているものが多いのですが、杉浦さんはまた別格。浮世絵からそのまま飛び出してきたような画風がまたいいのです。ばっちりファンになってしまいました。