醒メテ猶ヲ彷徨フ海

野原海明(のはら みあ)のWeb文芸誌

クラフト・エヴィング商會 「クラウド・コレクター <手帖版>」

すぐそこの遠い場所、「AZOTH(アゾット)」。

新版 クラウド・コレクター (ちくま文庫)

新版 クラウド・コレクター (ちくま文庫)

いいかい、この望永遠鏡はな、どこまでも遠くが見える不思議な装置なのだ。地球ってのは丸いだろう? だから、こいつを覗くと、地球をぐるりと一周し、自分の背中が見えてしまう。つまりな、ここからいちばん遠いところ、それが自分の背中なのだよ、いやホントの話*1

近くて遠いその場所に、アゾットという世界がある。21のエリアに分かれたこの世界には、忘れっぽい人たちが蒸留酒を飲みながら暮らしている。

忘却。繰り返し。自転。音楽。あたりまえのようにそこにあるもの。でもそれらは一体何なのだ? ちょっとずれた世界をデンジロウと共に旅をするうち、当然と思っていることのあいまいさを知る。何故、人は忘れるのか? 何故、歴史は繰り返すのか? 何故、地球は自ら回るのか? 何故、音楽は心を揺さぶるのか? この世の仕組みは、一体どうなっているのか?

*1:クラフト・エヴィング商會 『クラウド・コレクター <手帖版>』 筑摩書房 2004.4 p.17