醒メテ猶ヲ彷徨フ海

野原海明(のはら みあ)のWeb文芸誌

大切なもの

晴。

八時起き、たまねぎツナ丼をつくる。

十時半、母と上野公園口で待ち合わせ。途中、エスカレーターから落下して頭を打ってしまったらしいおじいさんを見る。救護の人たちが来ていて、おじいさんも血は流しつつも大丈夫そうであったので、とりあえず安心。たいしたことがありませんように。

西洋美術館の「すいれん」で珈琲とサンドイッチ。科学博物館でマヤ・アステカ・インカ展を見る。平日の午前中なのにものすごい人だかり。空いている展示をちょこちょこ覗くだけにする。なんだか、まるっこい造形のものが多くて可愛い。怖いはずの神様の顔もユーモラスだ。ジャガーをかたどった壺の前で「か……かわゆい」と思わず声をあげてしまう。

銀座線で銀座へ移動。閉所恐怖症の母は東京の地下鉄も苦手そうだ。地下のお蕎麦屋さんでビールを飲む。ノエビアのビルで畦地梅太郎展を見る。有楽町から山手線に乗って上野へ。新幹線改札まで母を見送る。ヨリに電話。偶然有楽町に来ているとのこと。三省堂の前で待ち合わせ。スターバックスでアイスコーヒーを飲む。有楽町線に乗る。飯田橋で一時解散。

TUTAYAに返却に行く。芳林堂、あおい書店で目当ての手帳を探すが見つからず。TUTAYAに戻り、ソファで足を休める。久しぶりにマーガレットハウエルのパンプスを履いたら、なぜか足に合わなくなっていた。ぶかぶか。買った当時よりも六キロ程痩せたせいなのだろうか。足も痩せると聞く。痛む足を引きずって帰る。

なんだか暗い気分のまま、『チエちゃんと私』、『日々ごはん』を読む。

チエちゃんと私

チエちゃんと私

それでも今夜はヨリにまた会えるから、と精神をなだめていたら、「頭が痛いので今日はこのまま寝ます」とヨリからメール。瞬時、絶望する。

自分にとっていちばん大事なものがわかった日だ。夢を追うことも必要だけれど、私はひとりでは生きてはいけない。身近な人たちを大切にしなければならないのだと胸に刻む。夢だけじゃ、生きていけない。

こんな日は美味しいものに元気をもらおう、それも自分の手をかけた丁寧な料理を、と思い立ち、『向田邦子の手料理』のなかからお煮しめを選んでつくる。

向田邦子の手料理 (講談社のお料理BOOK)

向田邦子の手料理 (講談社のお料理BOOK)

十一時半、玉子掛けご飯と一緒に食す。