醒メテ猶ヲ彷徨フ海|野原海明のWeb文芸誌

野原海明(のはら みあ)のWeb文芸誌

そうじ力、あなどれない。

話題になったから知ってはいたけれど、興味を持っていなかった「そうじ力」の本。年末大掃除のちょうどいい機会だから、まとめて図書館で借りてみた。今年最後の、図書館で借りた本たちです。

3日で運がよくなる「そうじ力」 (王様文庫)

3日で運がよくなる「そうじ力」 (王様文庫)

文庫版の『3日で運がよくなる「そうじ力」 (王様文庫)』は本屋さんで表紙だけちらっと見て、掃除方法を紹介する本だと思い込んでいたもの。実際はそれだけではなくて、読んでみると、掃除と心の関係、掃除と人生の関係が見えてくる。例えばこんなふう。

 〔…〕私たちがふだん抱くトイレのイメージといえば、「汚い」「臭い」などダーティなものばかり。「なるべくならそうじをしたくない」という思いが、汚いトイレを生み出しているのです。
 本当は嫌な役目を引き受けてくれていることに感謝し、どこよりも清潔にしてお礼をするべきなのに、このままでは罰が当たります。
 〔…〕
 トイレは、あなたの周囲の人に対する感謝の気持ちが表われる場所。ないがしろにしているということは、誰にも感謝できなくなっていることを意味します。*1

掃除を義務だと思って嫌々するのではなく、感謝を込めて楽しみながらやると心まで澄み渡っていく。さぼっていたらもったいないなぁ。さっそくエアコンのフィルターの埃を取って、キッチンの排水溝をゴシゴシ磨いた。玄関のドアの外側も拭いた。行き詰っていた何かが流れていくような気分。

仕事で輝く 人生が変わる 「そうじ力」で自分磨き!!

仕事で輝く 人生が変わる 「そうじ力」で自分磨き!!

3日で運がよくなる「そうじ力」 (王様文庫)』が「そうじ力」の基本を知る入門書だとすれば、『仕事で輝く 人生が変わる 「そうじ力」で自分磨き!!』は「そうじ力」を仕事に生かす応用編。デビュー作がベストセラーになって忙しくなり、心にゆとりをなくしていた著者自身の失敗談も語られていて、より説得力がある。強く印象に残ったのは次の部分です。

 整理整頓を実践し続けると、「自分は○○である」と、一言でいえるようになります。
 〔…〕
 自分のまわりのものから明確になり、そして、究極には、自分自身とは何かが明確になっていくのです。
 明確になればなるほど、「自分が何をすべきなのか」がハッキリとしてきます。*2

就職活動では、まず「自己分析」をするのが主流の世の中。自己分析のワークシートをするのもいいかもしれないけれど、整理整頓をして余分なものをばっさり切り捨てたなら、もっと自分が見えてくるかもしれない。自分探しの旅に出なくても、今いるこの場所の環境を整えてみたら、曇ったガラスの向こうから自分の姿が見えてくるだろう。