醒メテ猶ヲ彷徨フ海

野原海明(のはら みあ)のWeb文芸誌

さびしい女はよく太る

さびしい夜、むしょうに甘いものを食べたくなるのはどうしてなんだろう。ふだんは極辛党、甘いものは見るのさえ嫌なのに。心理学の先生が言っていた、過食症の症状があたまをよぎる(そういえばこの話は、だいぶまえにも書いたような気がする)。

刺激的な出来事を求める人は辛いものを食べ続け、母親の愛情が恋しい人は乳製品を食べ続ける。そして、さみしい女は甘いものを食べ続ける。

かりんとうをポリポリかじり、ああこれでせっかく減った体重が戻ってしまう、と、さらに悲しくなる。身体というものは思い込みで出来ているから、夜中の食べ物も「正しい栄養になる」と信じ込んでしまえば決して太ることはない。罪悪感に駆られながら食べる物がいちばん良くないんだ。

心して、輪ゴムでかりんとうの袋を閉じる。

日本中を飛び回る仕事をしている私の恋人。帰って来る場所がいつも私のところであることを願ってやまない。そしてそれがどうか、彼に対する愛情に変わればと思っている。仕事の疲れをそっとほぐせる存在になりたい。でも今のこの寂しさはただの甘えだ。なかなか会えない恨みつらみをぶつけて、その胸に顔をうずめたいだけなのだ。