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醒メテ猶ヲ彷徨フ海

野原海明(のはら みあ)のWeb文芸誌

図書館の業務委託、私感。

本の紹介が主な待宵草子ですが、今日は趣向を変えて仕事のことなど。私、普段は図書館司書をして口に糊をしています。図書館司書は専門職。その割に専門性をわかってもらえない仕事でもあります。確かに端から見たら図書館職員って、カウンターに座って本の貸し借りの手続きしているだけにしか見えないもんね。

専門職として司書を雇ってくれるところは本当に少ない。司書の卵にとって就職活動は超激戦。多くの公共図書館や大学図書館では、一般事務として採用された職員が、図書館業務を任期中だけ担うことになります。そうなるとやはり、図書館の知識を持つ人材が別に必要。司書資格を持つ嘱託職員や非常勤職員の求人広告が出されます。資格を持っている人の方が雇用が不安定で給料も低い。なんとも不思議な現状です。

私は、業務委託を受けた会社に所属するスタッフの一員という立場です。大学に直接雇われる嘱託や非常勤とは全く違う働きかたになります。直接職員から指示を受けないので、派遣ともかなり形式が異なります。図書館での業務の一部を丸ごと請け負い、その中で人材の管理育成なども行う。職員は直接スタッフの指導をしなくても済むし、職員を置いておくよりは安い人件費で時間外勤務をお願いすることもできる。さらに、これは業者にもよりますが、たとえば私の所属する会社のスタッフは皆、司書資格を持つ図書館のプロ。雇う側にとって、けっこうお得な感じです。

だけれど、ひとつの職場に常にクライアントと外部業者が顔を並べているというこの環境は、人間関係のトラブルがとってもおきやすい。こじれてごたごたして、泣く泣く去っていくスタッフを何人も見てきてしまいました。いつも一緒に顔を突き合わせているけれど、利害関係が大きいってかなりの緊張感。「申し訳ありません」が口癖になってしまいそう。納得いかない事態になっても、へたに喧嘩はできない。自分だけじゃなくて、みんなの首が飛んでしまうから。

3年間現場スタッフの副管理者を務め、今年からあらためて現場のリーダーになりました。スタッフはみな私よりも年上で、図書館経験も長い人が多い。リーダーの私の方が助けてもらっている感じ。けれどもこういう複雑な形態だからトラブルもよく起きる。実際私のポジションの人で、1年以上続いた人は稀だと聞きました。

事が起きた時に、真っ先に頭を下げるのもリーダーの役目。理不尽なことでトラブルに巻き込まれて、傷ついたスタッフを励ますのも大事な仕事。業務委託の司書は、クライアントさんに対する営業のような気回しと、利用者への細かな気配りのサービス業と、知識が無いとこなせないデータベースの管理と、全てできてようやく一人前。大きな器の人間になりたいけれど、まだまだ難しい。