醒メテ猶ヲ彷徨フ海|野原海明のWeb文芸誌

野原海明(のはら みあ)のWeb文芸誌

久保田潤『南中島』

クボヂュンこと久保田潤さんの個展『南中島』*1のポストカード? 画集? を見せてもらった。一連の水彩画はちいさなおはなしになっている。

クボヂュンの描く絵は、青がとてもきれい。とけてまざりつつあるクリームソーダ(メロンソーダじゃなくて、ブルーハワイみたいに真っ青なやつ。大船にはいまでも出している店があるらしい)をちょっと思い出す。透き通ってしゅわしゅわした青と、白いぼんやりとしたものとがあわさったような。

みていると、だんだん「ぽやん」としてくる。絵の中からのんびりした潮風がやんわりふいてくる。そのなかでごろんとねころがりたくなる。

そしてまた、クボヂュンのまったりしたことばがまたいいのだ。のんびり息をすって「ぽこん」と吐き出したような。ヒグラシ文庫一周年の連載企画に寄せてくださった文章*2も、なんだかテンポが独特ですてきなのだ。

絵は販売もしているそうだ。連作だから全部そろえてみたくなってしまうけれど、あえて手元に置いておきたいのはどれだろう。城戸さんが買った絵*3はこれでしょう? と訊いてみたら、どんぴしゃだった。ふむ。

個展『南中島』は銀座のクオリア・ジャンクション*4で9月5日(水)まで。11:00 - 18:00の、日曜休廊とのこと。