醒メテ猶ヲ彷徨フ海

野原海明(のはら みあ)のWeb文芸誌

だれだって生涯に一度は母親を亡くすのよ。

だけれどそれは、なんと耐え難いことだろう。

ある時期まで、子供にとって母親は世界の全てだった。

母親の殻を破って世界に出て、それでもやはり戻る場所があるという安心を抱えて生きていた。

戻りたくはない場所だけれど、最悪最低の場合はそこに逃げていけるという、甘えがそこにはあった。それはなんて素敵なことだっただろう。

帰る場所を永遠になくしてしまった。