真昼の月 夜の太陽
小川コータのおっかけで、勤務上がりに新大久保へ。久しぶりの東京。乗り換えの品川で、ホームを駈け上がるサラリーマンのスピードに呆気にとられてしまう。みんな同じような黒い背広を着て、あっという間にコンコースへ消えていった。二年前はおれもこの一群のなかにいたのだ。
東京では、皆が揃って必死に時計のねじを巻いているみたいだ。もっと早く、もっと早くと、周りの景色を見渡すこともなく、一心不乱に。
新大久保の街は韓流スターのブロマイドを売る店と韓国料理の店が建ち並び、女の欲望が満ちている感じ。
いかにもビルの地下室…というところに「真昼の月 夜の太陽」はあって、ライブが始まるまではステージ以外、地下倉庫みたい。けれど一度照明が落とされると、そこは別世界になる。夜空の中にいるような、海のなかにいるような。気持ちよく、音が響いていく。
ジンライム、玉子のホットサンド、アーリータイムズのロック。
歌いたくってしかたない、というエネルギーが夜の空間をつつむ。就職も結婚も常識もぶっ飛ばした先にあるなにか、を見せて貰ったような気がした。世の中のひとはそれを単なる夢だと云うだろう。
打たれ続けても、出る杭であれ。