醒メテ猶ヲ彷徨フ海|野原海明のWeb文芸誌

野原海明(のはら みあ)のWeb文芸誌

電車のドアが開いてホームに人がどっと流れ出るとき、これは何かに似ていると思う。そうだ、ゲートが開いた途端に雪崩みたいに一斉に飛び出してくる、羊の群。何かに追い立てられるように。

終わりのないレース。飼い慣らされた、従順な勤め人たち。

めまいがして一瞬スピードに乗れずにいると、いくつもの背広に突き飛ばされる。苛立ちと舌打ちが横をすり抜けていく。

先進国だ、と言っていい気になっていた国は、いまや後退国。疲弊しきったその先に、愚かな歴史を繰り返そうとする。絶え間ないニュース。途切れることのないテレビ番組。延々と続く広告。もっと早く、もっとたくさん、もっと楽に。もっと安く、さぁ今こそ買い時です、女の子たちはダイエットをしなければなりません。みんながこうしています(だからあなたも、もちんそうするでしょう?)

駅のホームのカフェでブレンドコーヒー。今日の目録整理は、NDC9 : 548.3 自動制御、ロボット。548.31 制御理論。旧版からの請求記号の付け替えをこつこつと。ちょうど一年前に501.9の作業を終えていたので、ほとんど変える必要のあるものはない。退屈する。

学食のナポリタン、タバスコたっぷりで。教育心理学の課題が出ているらしい。同じような本をみな大量に借りていく。