園子温監督「希望の国」
ジャック&ベティでたくちゃんと待ち合わせて映画「希望の国」を観る。昼間の黄金町はわびしい。北風に吹かれる薄汚れたピンク色のビルディング。灯りの消えたネオンサイン。陽が落ちる頃、ここは欲望と虚しさの交叉する街になるのだろう。
「希望の国」は3.11以降の、架空のもうひとつの原発事故の物語。長島県(広島、長崎、福島を思い起こさせる)に住むある家族の話。
人間は、辛いことも不安もやがて忘れる。フクシマのことも。そしてこれは日本人だからなのかもしれないが、まわりと同調したがる。皆がマスクをしないなら、自分もマスクなんてできない。ましてや防護服を着て町を歩くなんて。それでも、馬鹿にされようと狂人だと思われようと虐げられようと、命を守ろうと思うなら、自分の判断を決して曲げては駄目。
今もまだ、事故は終わらない。だけど、あのときの恐怖を、すでに忘れ始めているような気がする。