醒メテ猶ヲ彷徨フ海

野原海明(のはら みあ)のWeb文芸誌

一億総無関心・情報過多のテレビ依存時代を生きる僕ら

皮膚科の待合室で、大きなモニターに映し出されるニュースを見ている。夕飯時のワイドショーだ。そういえば、昔テレビを持っていたときは、夕方のワイドショーをつけっぱなしにして夕飯をつくっていたものだった。

二○一一年、アナログ放送が終了したときにテレビは捨ててしまった。ひさしぶりに見るワイドショーだ。明るいテンポのよいBGM。その間に挟まれる、夕餉どきには不似合いな恐ろしく暗いニュース。

どこかの誰かが刺されて死んだ。どこかの誰かが交通事故で死んだ。どこかの子どもが行方不明になっている。当たり前のように単調に流れていく。ひさしぶりにそんなものを見たおれは鳥肌が立ってしまう。

あたりを見渡せば、みな当たり前のようにスマホを見たり雑誌を読んだりして診察の順番を待っている。ごく日常の光景だ。おれひとりが、恐れおののいている。

テレビは恐ろしい。大量に流れてくる情報に慣らされてしまう。ちょっとやそっとのことじゃ驚かなくなる。

合間に、また汚染水が漏れていると、なんでもないことのようにニュースは言う。