情報社会学会「第六回知識共有コミュニティワークショップ (#ksws)」におじゃましてきました。
第六回知識共有コミュニティワークショップのお題は、基本に戻って「知識共有とは何か」をテーマに討議をする会。これなら初心者のおれもついて行けるかも...と、思い切って参加してみました。
国際大学 庄司昌彦先生の基調講演
まずは庄司昌彦先生(@mshouji)の基調講演「オープンデータから考える実社会の知識共有コミュニティ」から。政府のデータ公開をはじめ、知識共有の今についてなどなど。イギリスは政府によるデータの公開が進んでいるようだ。サイトもとっつきやすくて見やすいデザイン。World Wide Webの生みの親、ティム・バーナーズ=リーが関わっているとのこと。
日本でも同じような取り組みがされているけれど、まだまだ未熟な印象。データが「公開」されていることと「開放」されていることは違う、というお話。「公開」されていても、政府による著作物として著作権で守られていて使用することができない、つまり「開放」されていない場合も多い。また、学術的利用は許可されていても、「税金を使って集めたデータだから」という理由で商業的利用は許されない、というものもある。
日本のデータ公開の例。データカタログサイト試行版「DATA GO JP」。
今まで各省庁から別々に公開されていたデータが一箇所にまとめられている。でも、データで使われている用語が省によってバラバラだったりして、まだ改善しなくてはいけないところがたくさんあるそうだ。
日本国内のオープンデータ取り組みの例
静岡県は、国より先にデータカタログサイトを作っていた。
「税金はどこへ行った?」なんていうサイトもある。自分の住んでいる自治体と年収を入力すると、どんなものに一日にいくら自分の税金が使われているのか可視化される。
千葉市では、町の課題点を公開して市民による解決を促す「ちばレポ」というものがある。
データをポップに公開することで、福岡のいいところを知ってもらう為の「Fukuoka Facts」。
オープンデータのこれからの可能性と課題
データが公開されることで、そのデータを使ったマーケティングをするビジネスが発展する可能性のお話。例えば成功例として、上勝町の「株式会社いろどり」。
政府の公開したデータで、役立つアプリがたくさん生み出される可能性。例えば、鯖江市のアプリ。町の公衆トイレの位置が検索できたりする(これ、鎌倉市版がぜひとも欲しい!)。
これからの課題として、「著作権」についてと「プライバシー」について。匿名化していても、複数のデータを掛け合わすことで個人が特定されてしまう危険性。また、日本は情報公開による犯罪に遭ったことがある人が少ないわりに、公開することに不安を感じる人が多い国であるということ。
パネルディスカッション
岡本真さん(@arg)の司会によるパネルディスカッション。登壇者は、基調講演をされた庄司先生、関東学院大学の折田明子先生(@oritako)、龍谷大学の渡辺靖彦先生。お話の内容はおもに、基調講演を踏まえたものと、岡本さんからの問題提起である「プライバシー問題」と「知識共有の進む先はこれでいいのか」。
オープンデータを利用するとは。例えば、保育園問題。地域のどこの保育園に空きがあるか、どんな基準で審査をされるのか。データがあると助かるけれど、公開することに不安を覚える人もいる。
なんのためにどんなデータが必要なのか、プログラマーだけではわからない。例えば、保育園問題は当事者になってみないとその大変さはわからない。サービスをつくるには専門家だけじゃなくて、もっといろんな人を巻き込んでいく必要がある。
さらには、データを公開してそれで終わり、じゃ意味がない。そのデータを使って、だったらこれからどうしていくかといった問題提起を促すところまでひっぱっていかなくちゃいけない。
議論は白熱して、予定の十七時を大きくまわって終了。打ち上げにも参加させていただきました。ありがとうございました。