〔日記〕レモンサワーの燿き
十二月廿六日 晴、しづかな時間が流れる、独居自炊、いゝね。
寒い、寒い、忙しい、忙しい――我不関焉!
種田山頭火 行乞記 (一)
2015年のいちばん夜が長い日は、なぜか彼方此方から注意喚起やお叱りやトラブル対応依頼ばかり届く一日だった。誤ったり改善案を出したり丸く収めたりしながら、自分がどうしようもない駄目な人間であるような気がして落ち込む。
翌日は昼間から自棄酒をくらいながら、太宰治が原作の映画(ヴィヨンの妻 ~桜桃とタンポポ~ [DVD])を観るでもなく見ていたら、急に元気が出てきた。いいじゃないか、どんなに駄目でどうしようもなかろうと、生きていれば。元気に呑みにくりだす。
正統レモンサワーがきらきらと光る。その発泡が美しく立ち上り、銀河の星々のように黒いカウンターに並ぶ。
考えてみれば、誤解と行き違い、認識違いばかりで、おれはひとつも悪くないじゃないか。なんだ、馬鹿らしい、と酒を干す。