醒メテ猶ヲ彷徨フ海

野原海明(のはら みあ)のWeb文芸誌

〔日記〕隣に座るも多生の縁

朝5時に起きて須賀川へ。だいぶ明るくなった。家を出るのが遅くなり、駅までダッシュをする。イクラおにぎりを買って新幹線に乗り込む。いつも宇都宮辺りから混み出してくる。隣の席はサラリーマンだった。

那須塩原の山の様子で季節の移ろいがわかる。早春の山々は青く、まだ雪をかぶっている。

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10時頃に須賀川駅着。図書館で12時まで会議。和蘭丹でランチミーティング。ハンバーグランチをいただく。そのまま中央公民館へ行って17時過ぎまで図書館分科会。その間もひたすら溜まっていくメール。

帰りの新幹線は「やまびこ」の席を取ったが、3人がけ真ん中しか空いていない。「つばさ」のほうが空いていると李さんに教えてもらう。席を替えてもらうためにみどりの窓口に並ぶ。先に並んでいた奥様が東京までの指定席を買っている。駅員さんに勧められて「やまびこ」でなく「つばさ」にしたようだ。

郡山駅で乗り換え。新幹線に乗り込むと、先に座った窓際席の奥様が「つばさって、足かけがあるのね!」と、にこやかに話しかけてきた。

「あ、ごめんなさい、うれしくなって、つい話しかけちゃったわ」
「いえいえ」
「やまびこは混んでるからって、駅員さんがつばさにしてくれたの」
「あれ、さっき須賀川駅にいらっしゃいませんでした?」
「あら、そうよ!」

そこから東京に着くまでの間、奥様とぽつりぽつりと話をした。人生のこと、親のこと、結婚のこと、愛情のこと。

「親孝行って、わかっててもなかなかできないものよね。いつも『なんにもできなくてごめんねー、本当に申し訳ない』って思ってばかりだったのよ。そうしたら友達がね、『あんた、できないことを謝るよりも、お母さんにご飯をつくってもらったら”おいしいねー! お母さんの料理は最高だわ!”って言えばそれでいいのよ。ありがとう、うれしいよって伝えれば、それだけで親は幸せなんだから』って言うのよ。あたし、目から鱗が落ちたわ!」

なんだか、観音様みたいな人だった。

例の画家に酒と飯とを供養する、私が供養するのぢやない、私の友人の供養するのだから――友人から送つてくれたゲルトだから――お礼がいひたかつたら、友人にいつて下さいといつたりして大笑ひしたことだつた。

[種田山頭火 行乞記 (二)一九三一(昭和六)年]

東京駅構内にはオヤジ指向の飯屋が無くて困る。ラーメン屋とか、蕎麦屋とかは無いものだろうか。結局、いつもの通りシンハービールとガパオで小腹を満たす。横須賀線内で溜まっていた仕事を少し進める。草臥れきって呑みに出る気力が無く、日本酒(菊水の辛口)4合瓶と、焼きスルメと鮭とばを買って帰る。