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醒メテ猶ヲ彷徨フ海

野原海明(のはら みあ)のWeb文芸誌

〔日記〕誇り

日記

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風邪がひどくなっている。鼻が詰まっているせいか、常に喉が渇く。布団のなかでぐだぐだと過ごす。その間に、赤ワイン一本と日本酒300ml瓶一本が空いた。

Facebookのタイムラインでは、ホワイトデーの話題がしきりに上がる。バレンタインにも何もあげていないおれに、ジロウが突然、万寿堂の原稿用紙を買ってきた。ホワイトデーだからではなく、たまたま自分が文房具屋に行って、目に留まったらしい。ありがたくいただく。

朝湯朝酒勿体ないなあ。

[種田山頭火 行乞記 (二)一九三一(昭和六)年]

そういえば、しばらく原稿用紙で字を書いていない。今の仕事では、ライティング能力が自分の強みだと思っていた。それを真っ向から否定されるようなことがあって、天狗になっていた鼻をへし折られた気分だ。謙虚になれ、ということだろうか。いや、違う。初心を忘れてはいけないが、おれが謝ることではない。モヤモヤとした怒りのようなものが腹の中で渦を巻く。

前にも似たようなことがあった。
「君は、文章書くの苦手なの? 僕みたいに小説とか書いてみたらいいよ」
おれの存在全否定みたいなことを言ったのはクライアント側の上司だった。おれは「スタッフを守るため」とか格好いいことを言ってその職場を去ったが、辞表を書く最後の決め手は、もしかするとその一言であったのかもしれない。

だから今もおれに、何かが「もう一度考え直せ」と言っているようにも思う。自分の一番大事なものを、誇りを、守る道を選び直せ、と。