醒メテ猶ヲ彷徨フ海|野原海明のWeb文芸誌

野原海明(のはら みあ)のWeb文芸誌

正規の図書館司書に採用されるのは狭き門。でも一般公開前の求人情報を手に入れる方法もある

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このブログで最も長く人気のある記事は、2014年に書いた「『われわれの館』閉鎖後、図書館司書の求人はどこで探せばいいのか」だ。図書館司書を目指す人向けの本『図書館員をめざす人へ』でも、この記事が紹介されている(ありがとうございます!)。

『われわれの館』閉鎖後、図書館司書の求人はどこで探せばいいのか」の記事を書いたとき、私はまだ非正規司書として働いていた。当時、お給料は月給制だったけれど、その額はどうにか生活だけはできる程度。もっと稼げる職場はないか。もしくは他の職場の給料額を根拠にして、今の職場に昇給のお願いができないか。そんな想いで、暇さえあれば「われわれの館」の最新情報を眺めていたのだ。

非正規で働くよりも、正規の図書館司書になったほうが絶対やりがいがある

司書の正職員としての採用は少ない。「われわれの館」管理人によると、一年に掲載される4,000件の求人情報のうち、正規職員の公募は60件にも満たなかったそうだ。

図書館の求人の多くは、貸出返却やごく簡単なレファレンス、返本や書架整理、資料の装備や修理など、資格保持者でなくてもできてしまいそうなものが多かった。たぶん、今でもそうだと思う。「家族が稼いでいるから、自分はアルバイト程度の収入で構わない」というなら、そういう業務内容の仕事に就いてもいいのかもしれない。でも、そういった業務の多くは近いうちに、機械にとって代わられるだろう。

それに、非正規司書を7年間続けた私の経験から言うと、単純なカウンター業務やバックヤード業務だけでは飽きてしまう。「もっとこうすればいいのに」「こんなこともできるのに」とフラストレーションばかりが溜まる。新しい提案をしようにも非正規の立場では難しい。業績を上げたところで収入が増えるとも限らない。ましてや来年、同じ仕事があるかどうかすらわからない。

だから、これから図書館で働くことを目指している人には、正規司書を目指すことを熱烈におすすめしたい。それがどんなに狭き門であっても、まずは挑戦して欲しい。正規司書の公募は、以前にも紹介した日本図書館協会のサイトを見るのがよいと思う。Twitterで「#われわれの館」というタグを拾うという手もある。それよりももっと有効なのは、自分という存在を図書館界で活躍する人に知ってもらうことだ。



一般公開される前の司書採用情報を手に入れる!

図書館の業界ってわりと狭い。研究会や図書館関連のイベントに参加すれば、講師も務めるようなスーパーライブラリアンと、思うよりも簡単に知り合いになれる。誰か一人とつながれば、日本全国の有名司書と知り合いになるのもそう難しくない。

そうすると、どこの自治体で新しく図書館ができるのかという情報も、自然と耳に入ってくるようになる。図書館司書を採用する側も、求人を出すまでに準備が必要だ。「そういえば正規の司書になりたがってる面白い人がいたな」と思い出してもらえることほど有利なことはない。

だからぜひ、図書館関連のイベントにはどんどん顔を出してみて欲しい。もし今、非正規で図書館司書として働いているなら、研究会に出席しても手当は出ないかもしれないし、交通費だって自腹かもしれない。それでも、参加する価値はある。

そして、研修や講演会では、講師から顔の見える前のほうに座って、質疑応答の時間にはガンガン手をあげて欲しい。もしトンチンカンな質問をしてしまっても「変なヤツがいたなぁ」と講師の印象に残れば、それは失敗じゃない。

それでは、図書館で生き生きと働いているあなたと会える日を楽しみにしています。

mia.hateblo.jp