「男には負けない!」と思って働く女は挫折する。〔書評〕藤本さきこ『お金の神様に可愛がられる方法』
仕事をしているときは「男性と対等に扱われたい!」とずっと思っていた。ビジネスの上では、「女」だというだけで相手に信頼されないように感じていたのだ。スカートを履くのをやめ、ジャケットを羽織って、男前に会議に挑んだ。
それは不自然なことだったのだろう。うつ病になって、結局仕事は辞めざるを得なくなった。
女性に向いているのは、他人ではなく自分を喜ばす「非常識ビジネス」
著者は、男前ではなく「オンナ前」に生きることをすすめている。
本来、どんな人でも女性性と男性性が同居しています。
「ワクワクと楽しいことをしたい」と感じた女性性に、「じゃあ、どうやって楽しいことを実現していくのか」と戦略的に考えてくれる男性性と会話し、自分の中の”イイ男”をどんどん育てていくことが「オンナ前」の意味。*1
著者によると、「女性性」の本質は感じること、生み出すこと。
一方「男性性」の本質は、現実化すること、結果を出すこと。
「男にまけないくらいバリバリ働く! それが私の喜び!」と思っているかもしれません。
しかし、本来、女性である自分の半分を占める「女性性」はそうではないのです。
女性にとって、努力、根性、闘いとは、「低レベルの男性性」に過ぎません。そこで食い違いが生じ、心の底では「自分がどうしたいのかわからない!」と混乱している女性がたくさんいます。*2
そして、女性には従来の常識的なビジネスは合わないのだという。誰かを喜ばすためのビジネスではなく、まずは自分が本気で楽しむために、非常識なビジネスを営む。そんな著者は、月収10万円の貧乏シングルマザー時代を脱し、いまや月収1400万円を稼ぎ出す実業家だ。
服部エリーの『とにかく願いはゼッタイかなう! それが「宇宙の掟」だから。』を思い出した。努力して勝つ男性性の時代は終わりつつあり、プロセスを楽しむ女性性の時代がやってくる。
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自分の経血をゴミ扱いしない。自分を大切に思うための布ナプキン
本書では、布ナプキンについても触れられている。
私はケミカルナプキンから布ナプキンに変えて、着け心地のよさを感じるのはもちろん、生理(自分)を自分でゴミにしない、汚いもの扱いをしないで欲しいと思っています。*3
これは私も、布ナプキンに変えてから実感した。使い捨て紙ナプキンの場合、経血の染み込んだそれを大量にゴミ箱に捨てることになる。「ゴミとして捨てるもの=汚い」という意識になるから、毎月大量の汚い排泄物が自分の中から出てくるように感じてしまうのだ。血のついた布ナプキンを洗っていると、これは決してゴミなんかじゃないんだと実感する。
女として生まれた自分の性を肯定する
『お金の神様に可愛がられる方法』という書名がつけられてはいるが、この本は「どうやったらお金がたくさん入ってくるか」というよりは、「女として生まれた自分の性を肯定し、いかに楽しく生きていくか」について書かれているように感じた。
さて、私も何年かぶりのワンピースを着て、町に出てみるとしよう。