紙に書き出して見返せば脳が願望へのGPSとなってくれる 〔書評〕『自動的に夢がかなっていく ブレイン・プログラミング』
著者のアラン・ピーズ & バーバラ・ピーズ夫妻は、世界的ベストセラーになった『話を聞かない男、地図が読めない女』の執筆者でもある。
『話を聞かない男、地図が読めない女』は最初オーストラリアで自費出版され、1ヶ月も経たないうちにベストセラー第1位を獲得した。1位の座は3ヶ月継続し、売上は5万部を超えた。その後、イギリスやアメリカでも販売され、10年間で2,000万部以上の売上を記録する。映画化されて大当たりし、パリやローマ、アムステルダムでは舞台や劇にもなった。
それほどの大成功を収めた夫妻だが、『話を聞かない男、地図が読めない』の出版前には、家も資産も現金も預貯金も全て失い、一夜のうちに莫大な借金を抱えるという大失敗も経験している。
人生のどん底から再びベストセラー作家として成功を収めたのは、「ブレイン・プログラミング」をし、決してあきらめなかったからだ。
脳のRASと呼ばれる部分が願望へのGPSとして働く
心に決めた目標を現実化させる方法を、本書はスピリチュアルな方面からではなく、脳科学として説明する。鍵となるのは、日本語では「網様体賦活系」(もうようたいふかつけい)と呼ばれる脳の一部、RAS(Reticular Activating System)だ。
これは、ほ乳類の脳幹にある神経の集まりで、生命活動を維持する働きをしている。脳のこの部分に目標をプログラミングすると、まるでGPSのように、自動的に実現の方向へと導いていくようになる。
大事なのはどこへ行きたいかであって、どうすれば行けるのかを考える必要はない。*1
目標を考えると、どうすればそれが達成できるのかと悩んでしまいがちだ。「やりかたがわからないから」という理由で諦めてしまった夢はないだろうか。
脳にプログラミングするには、実現するための方法を考えるのではなく、何を実現したいかを決めるだけでいいのだと言う。
身を粉にして働かなければお金を儲けることなどできないと信じれていれば、その信念を深める情報しか目に入ってこない。だから、それが真実だと信じたまま人生を送ることになる。*2
紙に願望を書き出すだけでいい
RASにプログラミングするにはどうすればいいか?
やりかたはとても簡単だ。まずは紙に望みを書き出す。
紙に書いたからといって、必ず実行する必要はない。ちょっとでも興味があることなら書き留めておく。何度もリストを見返すうちに、「やっぱり違うな」と思ったら消してしまえばいい。そうすると、本当に自分がゆずれない願いは何なのかがはっきりしてくる。
本書では様々な人の体験談も紹介される。印象に残ったのは、アファメーションによって成功したスコットのストーリーだ。スコットは、「1日1回、望むことを視覚化し、その内容を紙に15回書く。達成するまでそれを続ける」という方法で、ベストセラーの1位と2位とを独占する作家になった。
自分の人生に言い訳なんてできない。
「やることが多すぎる」人などいない。すべては優先順位の問題である。 *3
そして、失敗を恐れないこと。何度断られても、決してあきらめないこと。
木の枝にとまる鳥は、決して枝が折れることをおそれたりしない。
枝を信頼しているからではなく、自分の翼を信頼しているからだ。 *4
「『紙に書き出す』なんて、よく聞く方法だ」なんて馬鹿にする前に、実践すべし。
すべてをゆだねる、という方法もある
私は、本書のように願望にスポットライトを当てる方法と、以前にこのブログで紹介したトーシャ・シルバーのように、すべてを神(または宇宙、愛……)におまかせするやり方との間で揺れていた。
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最終的には、すべてをゆだねればうまくいくのだと思う。自分が本当は何を望んでいるのか、神様はきっと言わなくてもわかっている。でもその前に、自分の望みが自分にもはっきりわかっていたほうが、人生はスムーズになる気がする。
うつ病になったとき、RASにプログラミングするべきリストは何も思いつかなかった。でも、今はノートのページが足らないくらい、たくさんある。それは、ひとつずつでも書き足していったから。
あなたはどこへ向かって人生を歩いて行きたいだろうか?