醒メテ猶ヲ彷徨フ海|野原海明のWeb文芸誌

野原海明(のはら みあ)のWeb文芸誌

白濁(二十八)

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 そのまま押し入られたらどうしよう、と思っていた。男は背後に立っている。

 おそるおそる振り向く。ちょうど外灯の逆光になり、男の表情はよく見えない。

「……ありがとうございました」

「こんなところにアパートがあったんですね。古い一軒家ばかりだと思ってました」

「ええ、目の前の、道に面して立ってるのが大家さんちです」

 これは牽制。

「そうですか。駅も近くて、いいところですね」



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