醒メテ猶ヲ彷徨フ海|野原海明 @mianohara

野原海明(のはら みあ)のWeb文芸誌

〔日記〕奇跡が起きた!

 
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  • 酔ひざめの星が
  • またゝいてゐる
  • 山頭火

雨かと心配してゐたのに、すばらしいお天気である、そここゝ行乞して目井津へ、途中、焼酎屋で藷焼酎の生一本をひつかけて、すつかりいゝ気持になる、宿ではまた先日来のお遍路さんといつしよに飲む、今夜は飲みすぎた、とう/\野宿をしてしまつた、その時の句を、嫌々ながら書いておく。

種田山頭火 行乞記 (一)


葉月廿八日、晴れ。真夏のような暑さが嬉しい。

夢に昔好きだった人が出てくる。彼は今、どこかの港町でスーパーと障害者施設を経営している、という設定であるらしい。彼から仕事を頼まれる。
「詳しいことは直接会って話すから」
と言うので、事務所を訪ねて行く。

10代の頃よりどことなく草臥れた顔をしていたが、よく気のつく優しさは変わらない。夕食時だから、とお弁当も用意していてくれたけれど、
「それは持って帰ればいいから」
と言って、彼の経営するスーパーでビールを2本と寿司の折り詰めを調達し、
「シェアして食べよう。事務所じゃなんだから、もうちょっと落ち着いたところで」
と言う。

ふたりきりだろうかと思ってどきどきしていたら、そうではなくて、たどり着いたのは障害者施設のほうだった。小さなごく普通のアパートの一室を借りている。一人では生活できなくなった、障害のある友人たちが身を寄せているのだ。

車椅子に乗って、両手両足を包帯にくるまれているのは、野球部のエースだったKだ。黒目がちの子犬みたいな瞳がキュートな美少年だったSちゃんは、左の眼球が肥大し、右の眼球は白内障のように濁っていた。

入れ替わり立ち替わりやってくるのも、地元の友人たちだ。見舞い、というわけでもなく、気ままに訪れているようだ。再会を静かに喜び合う。
「みんな車、運転できるんでしょ? どこにでも自由に行けていいよね」
と言うと、みなかぶりを振る。
「車なんて乗らないよ。危ないから」
えっ、みんな群馬県民なのに? と思っていたら、みなが車椅子のKにちらっちらっと視線を投げかけているのに気づく。Kが車椅子になったのは、きっと車の事故のせいなのだ。

テレビでは教育番組をやっている。四字熟語の穴埋め問題が画面に映る。
「実は、海明ちゃんにお願い仕事は、これなんだよね」
と彼が言う。
「出題者の傾向をつかんで、これをスムーズに全問正解して欲しい。ほら、海明ちゃん、そういうの得意だったでしょ」

四字熟語はどれも聞いたことがない、明治時代の文豪しか使わないような故事成語ばかりだった。ぱっと見ただけでは一問もわからない。お手上げだ。これをスムーズに解答するには、それなりに時間をかけて勉強しなければならない。

私は彼に身をすり寄せながら、
「うーん、それは、何のためにするの?」
と訊いた。理由もないのに、途方もない作業時間を取られてはたまらない。
「えーと、こいつらのため?」
彼は濁して答える。
「でも、みんな知的障害があるわけではないんでしょ? 頭の体操みたいなこと、する必要あるの?」
「ほら、何かやってれば、上に申告しやすいから。そうすれば業務費がもう少しとれるじゃない」
ああ、ちんぷんかんぷんだ。


目が覚める。「それをすることの意義や意味がわからない仕事」を漠然とこなしていちゃいけないよ、というお告げだったのかもしれないと思う。


二日酔いで早起きを断念する。7時起床。パスカルズの横浜でのライブの予約が取れないうちに完売になってしまったのが哀しく、キャンセル待ちとかでなんとか取れないだろうか、とTwitterで検索する。

たまたま、黄昏エレジーへ大谷氏のライブを聴きに来て下さったお客さんのツイートを見つけたので、メンションを送る。

うわあ、奇跡が起きた! と舞い踊る。なんてありがたいこと。


二日酔いの腹にカップラーメンを流し込み、日記を書く。

Instagramでも更新のお知らせができないかと、いろいろとやり方をさぐる。4時頃に腹が減って、米を半合だけ炊いて納豆欠けご飯を食べる。

小説を書く。


『ゆだねるということ』下巻にのっとって、坐禅を20分行う。これまでは最長8分だったから、おそるおそる。いい調子でいっていたが、最後の1分くらいで半跏趺坐をした左脚のしびれが気になり、わなわなともがく。

ゆだねるということ (下) (サンマーク文庫)

ゆだねるということ (下) (サンマーク文庫)


あっちゃんとサノタローによる新体制の筍へ行く。日本酒3杯、塩辛(これは隣のお客からのお裾分け)、カツオ胡麻漬け、ネギトロ、五目ひじき、玄米バターライス、ガリサワー。寿司についてくるガリが異様に好きなので、焼酎はあんまり得意でないくせに嬉しくてガリサワーでしめた。ぴりりとくる感じがたまらない。

コンビニでカップラーメンを買って食べる。昼に半合炊いた残りのご飯を投入する。やたら炭水化物を摂取した一日だった。