〔日記〕苦くて黄緑色の胆汁ばかり
歩かない日はさみしい、飲まない日はさみしい、作らない日はさみしい、ひとりでゐることはさみしいけれど、ひとりで歩き、ひとりで飲み、ひとりで作つてゐることはさみしくない。
種田山頭火 行乞記 (一)
長月十二日、晴れ。
夜中、気持ち悪くなって目が覚める。何度か吐けばおさまるかと思ったが、全然おさまる気配は無い。トイレまで何度も往復し、最後には苦くて黄緑色の胆汁ばかりが出てくるようになった。
うーん、これはうっかり死んじゃうやつかしら、と思いながら、布団でうーうーと呻る。「吐くのの凄いバージョンなだけだから、大丈夫だよ」とジロウが言うので大丈夫なことにする。うとうとしては気持ち悪くなって目覚め、ガバガバと水を飲んではそっくりもどす。人間ポンプになってしまったかと思った。どんどん唇がカサカサになっていくのがわかるのだ。
朝になって、胃はおかしいけれど吐き気はどうにかおさまる。体から、すっごい毒素が抜けたような臭いがした。
ジロウの目覚ましが鳴っている。いつも鳴っているのに気づかず寝続けるから、今日は珍しく枕元に置いてあるのだ。しかし、かなりのボリュームで耳のそばで鳴っているというのに、起きないでバイブレーションに合わせて「みー、みー」と鳴いている。「止めないの?」と聞いたら、「返事してるの」と答えた(寝言だったらしい)。
体はぐったりしているけれど、横になっているのはつまらない。片っ端から新しいゲームを試す。「デザートピア」と「伝説の旅団」、「ハリー・ポッター」はなかなかよかった。どれもiPadの大画面でやったほうがきれいだ。
どうにか物を食べられそうになったので、ジロウにそーめんでラーメンを作ってもらう。16時半にようやく起きて、風呂に入る。
買い物に行くときにちょうど雨が降ってきた。雷まで鳴っている。今日は良い天気だから油断したのか、スーパーの前で茫然と雨宿りしている人たちの前を、ドヤ顔で傘を差して通る。長ネギとスルメ、日本酒を買う。いつもすまし顔のレジのおにいさんが、珍しく操作ミスして「あ、まちがえちゃった」とはにかんでいるのがとても可愛らしかった。
湯豆腐とシラス奴で日本酒を少しだけ呑む。読みたい気持ちになる漫画がない。昼の続きのゲームをやって眠る。