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ライブラリー・ジャーナリストとはどんな仕事なのか

 
 野原 海明 はてなブログPro    

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ライブラリー・ジャーナリストとしての出発宣言をしたわけですが、「結局、ライブラリー・ジャーナリストって何?」というところを、もうちょっと詳しく書いてみます。

なぜ図書館職員(司書)でなく、ライブラリー・ジャーナリストなのか

大学卒業後、大学図書館で6年間、公共図書館で1年間、図書館司書として働いてきました。いずれも立場は非正規です。正規の図書館司書の求人って、本当に少ないんです。かつて、図書館司書の求人情報を紹介し続けていた「われわれの館」というサイトがありましたが、その管理人によると、一年に掲載される4,000件の求人情報のうち、正規職員の公募は60件にも満たなかったそうです

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その狭き門に果敢に挑戦してみてもよかったのですが、私にはそこまでの気概はありませんでした。なぜなら、いちばんやりたいのは小説を書くことだったから。小説を書く時間を確保しながら、好きな本に囲まれて仕事できるならそれで充分、と思っていたからです。そして、これはフリーランスになってみてからわかったのですが、私には「決められた時間に、決められた場所へ出勤する仕事」が本当に向いていないようなのです。

それならもう、図書館にはまったく関わりのない仕事を自由にやっていればいいと思っていました。でも、自分の中にはまだ、図書館に向けた情熱が残っていることに気づいてしまったのです。

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図書館の中の人として働くのは、もう卒業してもいい。日本各地の図書館へアドバイスをする「図書館コンサルタント」の仕事もしてきました。でも今、私の視線は、図書館の中にいる人たちより、図書館の外側にいる一般の人たちに向いています

なぜ「ライター」でなく、「ジャーナリスト」なのか

図書館勤めを辞めてフリーランスになってからは、ライターとして仕事をしてきました。ライター」の仕事とは、誰かが伝えたい想いを代わりに文章にすることです。それは大切な役割で、やりがいのある仕事です。

しかし、図書館に関して言えば、私は他の誰かが伝えたい想いを文章にすることよりも、「私自身が伝えたいことを取材して発信する」ことに重きを置きたいと考えています。ジャーナリスト」は、自分の伝えたいことを自らの意思で発信していく仕事です。

「図書館系ライター」として誰かの代弁を書く仕事ではなく、私が伝えたい図書館のことを、私ならではの切り口で掘り起こしたい。だからこそ「ライブラリー・ジャーナリスト」と名乗りたいと思っています。

ライブラリー・ジャーナリストとして、伝えたいことは何か

正規の図書館司書の求人が少ないことについて、先に触れました。私自身は熱心に正規の図書館司書を目指していたわけではありませんでしたが、ジレンマはいつも感じていました。図書館司書として働きたくて仕方のない後輩には就職の口はないのに、図書館に関心なんて全くなさそうな事務職員が図書館で正規職員として働いている。専門職であるはずなのに、非正規司書の時給はコンビニのアルバイトよりも安い。どうして図書館司書の専門性は認められないのだろう

以前、専門誌『ライブラリー・リソース・ガイド』(LRG)での指定管理者制度についての特集記事を書いた背景には、そんな想いがありました。

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例えば、それまで図書館運営のノウハウを持っていなかった自治体が新しく図書館をつくろうとするとき、指定管理者制度をうまく活用して民間のノウハウを取り入れていくというのならば、素晴らしいことだと思います。でももしかすると、「図書館業務なんて民間に丸投げしてしまえばいい」というのが、多くの自治体の本音かもしれません。

図書館の関係者としての視点で見るなら、図書館は大切な役割を持つもの。図書館で働く人はそのプロフェッショナルであるべきもの。でも、図書館の外側にいる多く人たちも同じように考えているわけではありません。

だとしたら、「図書館は何のためにあるのか」「図書館の役割は何か」を、もう一度根本から考え直したい。そしてそれを図書館の中の人だけでなく、外側にいる人へ向けて発信し続けたい。

つきつめていけば、「公共とはなにか」「政治とはなにか」というところにも行き着くのかもしれません。もしかすると、「図書館は結局いらないんじゃないか?」という結論にたどりつく可能性もあります。図書館を擁護するわけでも否定するわけでもない中立の立場で、私はもう一度考えてみたいのです。

日本各地の様々な人たちに、「あなたの町の図書館は、なんのためにありますか?」と聞いてみたい。その答えが今このときと、私が発信を続けた何年か先とで違うとしたなら、ライブラリー・ジャーナリストとしての私の仕事はかたちになったと言えるのでしょう。