醒メテ猶ヲ彷徨フ海|野原海明のWeb文芸誌

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色部義昭展「目印と矢印」を見に行ってきました〔第21回亀倉雄策賞受賞記念〕

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色部義昭さんの個展「目印と矢印」を観に、新橋へ行って来ました。色部義昭さんは株式会社日本デザインセンターの取締役。同社内で「色部デザイン研究所」を主宰されています。最近のお仕事は、DIC川村記念美術館や市原湖畔美術館、国立公園や須賀川市民交流センター tetteなどの美術館や公共施設のブランディング、サイン計画など。私はアカデミック・リソース・ガイド株式会社に在籍していた当時、須賀川市民交流センター tetteのお仕事でご一緒させていただきました。

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須賀川市民交流センター tetteは、図書館、生涯学習(公民館)、子育て支援、ミュージアムなどからなる公共施設です。ひとつの建物の中に「図書館フロア」や「公民館フロア」が別々に同居する複合施設ではなくそれぞれが融け合うように連携した、これまでにないタイプの融合施設なのです。そのコンセプトは、組木のようなフロア案内のデザインにも反映されています。

tetteの建物内部も、須賀川市の街の一部。だから館内の案内表示も、街とそのままひとつづきになったような、交通標識を連想させるデザインです。

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フロア名や部屋名を表すサインは、バスストップ型。バス停なら時刻表が記される部分はホワイトボードになっていて、その日の催しの案内などが書き込めます。マグネットでポスターなどを貼るのも可能。イベントの開催などによって日々変化する公共施設の案内が、いつのまにかごちゃごちゃになってしまわないよう、自然に案内サインと溶け込むような仕組みが仕掛けられています。

須賀川市民交流センター tetteについては、雑誌『新建築』2019年3月号(第94巻3号)で特集が組まれていますので、こちらもぜひどうぞ。

新建築2019年3月号/リノベーション特集

新建築2019年3月号/リノベーション特集

さて、今回の個展は、色部義昭さんの第21回亀倉雄策賞の受賞記念です。亀倉雄策は、1997年に急逝したグラフィックデザイナー。1964年の東京オリンピックロゴをはじめ、NTTやNikonなど、日本人なら必ず誰もが目にしたことのあるデザインを手がけました。亀倉雄策賞は、そんな生前の功績をたたえ、1999年に設立されています。色部義昭さんは、地下鉄のCI計画「Osaka Metro」で、見事第21回の栄誉に輝かれました

らせんを描くリボン状のロゴは、地下鉄が発車するかのようにくるくる回りながらと進みます。横から見るとメトロの「M」、前からみると大阪の「O」。誰にでもわかる公共性の高さが評価のポイントであったようです。色部さん、おめでとうございます! また須賀川でカラオケしましょう!

個展会場は新橋駅を出て徒歩3分のクリエイションギャラリー G8、入場は無料で2019年5月21日(火)まで開催されます(日曜・祝日休館)。

第21回亀倉雄策賞受賞記念 色部義昭展「目印と矢印」

会期:2019年4月4日(木)~5月21日(火)
時間:11:00~19:00
日曜・祝日、4月28日(日)〜5月6日(月)は休館
入場無料

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