〔日記〕なくしてしまった指輪が出現している
最後の晩餐! といふ気分で飲んだ、飲めるだけ飲んだ、ムチヤクチヤだ、しかもムチヤクチヤにはなりきれないのだ。
種田山頭火 行乞記 (三)
2年前の今日は沖縄出張。猫まみれの「おる商店」で呑む。また行きたかったけれど、残念ながら閉店してしまった。
— 海明(ミア) (@mianohara) June 30, 2019
〔日記〕おる商店で猫を愛でる - 醒メテ猶ヲ彷徨フ海|野原海明のWeb文芸誌 https://t.co/mVJMqczx8K
去年の6月28日の日記。「歩くのには足を動かさなくっちゃあ」
— 海明(ミア) (@mianohara) July 1, 2019
と、自分の声のようなものが耳元で聞こえて、目が覚めた。
〔日記〕遊びじゃないこと - 醒メテ猶ヲ彷徨フ海|野原海明のWeb文芸誌https://t.co/EK1NuS7OXl pic.twitter.com/Ht6Le2EJac
皐月廿六日、雨のち曇り。
あまりにも簡単にできてしまうことで、お金をもらうのには罪悪感がある。
でも、その「簡単にできてしまう」ということが才能なのかもしれない。
7時24分に起きる。目覚めてすぐ、sachi。ちゃんがインスタのライブ配信をしていたのでたまたま聞く。映画「怪獣の子供」を観に行け、というお告げが来たという話をしている。これは私にとってもお告げなのだろうと思う。
上映時間を調べると、辻堂テラスモールの映画館では11時頃のスタートだ。寝ているジロウを起こして「怪獣の子供、観に行こうよ」と言う。
魚とクラゲが漂っているワンピースを着て出発。フードコートで柚かしわうどん。ジロウは中華の焼きそばセット。「怪獣の子供」を見る。映画は漫画とちょっとストーリーが違う。パラレルワールドで起きた、もうひとつの物語のように。
吉本ばななさんが「不思議なことに、映画よりも漫画のほうが魚が動いて見えた」と言っていた。たしかに、と思う。ジロウは、「好きな感じ。でも、抽象的過ぎるから、万人受けはしなさそう」と言う。それも、たしかに、と思う。
見た後はそのまま新江ノ島水族館(映画の舞台でもある)に行こうかと思っていたけれど、今日出なくてもいいか、ということにする。スタバで写真をnoteにUPする。
空には暗号がちりばめられている|海明(ミア)|note https://t.co/B7SD5h7ktG
— 海明(ミア) (@mianohara) June 28, 2019
しばし買い物をする。ジロウは、ウルトラ怪獣のダダと、浮世絵のTシャツを買っていた。ライブに行くというジロウと大船で解散。家に帰ってデスクワークしようかと思ったけど、力尽きて呑みに行くことにする。
ヒグラシ文庫へ。16時台で空いていて、めずらしくビールサーバーの影の端っこへ。ふとサーバーの上を見ると、中原さんが死んだ翌日になくしてしまった指輪が出現している。埃と油まみれで。しかも、チラシの影で正面からは見えない場所に。
もう戻って来ないと思っていたから、あまりのうれしさに押し頂き、記念に自撮りする。今日、この時間に呑みに来なければきっと見つからなかっただろう。お導きなのだ。
浮かれて二軒目はとのやま。ほぼ満席で忙しそうだ。ずっと焼き台にはりついていたエンドウさんが、帰り際に「ミアちゃん」と珍しく名を呼ぶ。
「なあに?」
「あの人に献杯」
そうか、誰かがちゃんと伝えてくれていたんだね。「献杯!」と店を出る。
酔っ払って、チョコミントのソフトクリームみたいなアイスと、小さいカップラーメンを買って帰る。アイスだけ食して21時に寝る。
夜中、ジロウが帰ってきたので、指輪が戻ってきたことを自慢する。
「龍が中原さんをあの世まで送って帰ってきたんだねえ」とジロウがしみじみ言う。指輪には厳島弁財天の龍神が刻まれている。