醒メテ猶ヲ彷徨フ海|野原海明のWeb文芸誌

野原海明(のはら みあ)のWeb文芸誌

〔日記〕海のふたを閉めるのだ

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  • ひとりゐて
  • 蜂にさされた
  • 山頭火

ざーつと夕立がきた、すべてのものがよろこんでうごく、川棚では此夏一度も夕立がなかつたが。

種田山頭火 行乞記 (三)

葉月二日、曇り。

「みんな捨てていい。一緒に生きたい」

出逢ったばかりの頃、ジロウはそう言った。

そうしてその言葉通り、前の家族を捨て、ローンを組んで買ったマイホームを捨て、自慢のスポーツカーを捨て、20年以上勤めていた会社も捨てた。

けれど去年の夏に義母さんが亡くなって、遺産を引き継ぎ、代々の土地と家を引き継ぎ、子どもたちとの繋がりの戻った今、それらを捨てることはジロウにはできなくなったみたいだ。

きっと、財産か私かを選ばなければならなくなったときには、ジロウは財産を選ぶだろう。

子どもか私か、どちらかの命しか救えないときには、迷わず子どもを助けるだろう。

残念だけど、私は負けたのだ。

去年の夏、毎日のように光明寺へ通い。私は祈った。ジロウを返して欲しい、と。いや、最初に奪ったのは私なんだけどね。でも、過去の大事なものの中に戻っていこうとするジロウを、もう一度私のもとに戻して欲しいと、本気で祈った。

もう、ジロウは冒険をやめるのかもしれない。親から引き継いだ遺産を大事に保ち、それを子どもたちに引き継ぐことが一番大切なことになったのかもしれない。

6時44分に起きる。睡眠効率90%。風呂で八木龍平『成功する人が磨き上げている超直感力』を読む。入浴時間は47分35秒だった。

日記を書く。

昼はクリヤムへ。ガパオの大辛。ちょっと前までは辛いものをさらに辛くして食べていたが、今はほどほどでいい、と思うようになった(でも、大辛を選ぶ。大辛にさらに唐辛子をかけなくてもいいかな、という程度)。体質が変わったのかもしれない。

ユニオンの脇で、とのやまのエンドウさんと2回もすれ違う。ハックドラッグに行ってトイレットペーパーと歯ブラシ、酸素系漂白剤を買って帰る。

依頼されている原稿の最終仕上げと校正。1時間半くらい。無事入稿して、今年最後の海水浴へ行く。海のふたを閉めるのだ。

海のふた (中公文庫)

海のふた (中公文庫)

波が高くて、泳ぐのは無理だったけど、とりあえずしばし波をかぶって遊んだ。満足して引き上げる。

帰宅してブログを書く。

ロックガールことアリソンのスライドを印刷して、パワーストーンヒーリングの教科書をちまちまつくる。

18時58分、暮六ツ時となったので切り上げ。エンドウさんとよくすれ違ったので、縁を感じてとのやまへ。越の誉冷酒2合、レバーは最後の一本をおまけしてくれた。お通しはゴーヤの佃煮。ジャコも入っていて、とてもお酒に合う。それから砂肝。Gさんに、深海魚だというハッカクの刺身を奢ってもらった。本当に八角形をした生き物であるらしい。

ヒグラシ文庫へ移動。今日はさおりさん。菊水冷酒一合、明太子パスタ。

仕事で尊敬している男性のことについて熱弁を奮うと、「え、惚れてるの?」と聞かれるのはなぜだろう(最近立て続けに2回、そんなことがあった)。相手が共通の知り合いの場合は「そうそう、あいつ天才だよね!」と盛り上がるから、そんな下心ある褒め方はしていないはずだが……。

帰宅して22時にぱったり寝る。