醒メテ猶ヲ彷徨フ海|野原海明のWeb文芸誌

野原海明(のはら みあ)のWeb文芸誌

〔日記〕のろしレコードのレコ発ライブを聞きに「晴れたら空へ豆まいて」に行く

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今日で五日間、私は誰とも会話しなかつた、いはゞ独坐無言の五日間だつた、孤独は私の宿命であらう、そしてそれは孤独の微笑でなければならない

種田山頭火 其中日記 (七)

霜月廿一日、晴れ。

北極老人のように、整った環境で暮らしたい。まずは、新しい仕事場から、だな。

8時45分に起きる。睡眠効率95%、睡眠時間は9時間9分。

風呂で『ジェームズ・クリアー式 複利で伸びる1つの習慣』を読む。

昨夜、ライブに行っていたジロウはまだ寝ている。ガンガン片づけたい気持ちがあふれているけれどできなくてイライラして、早めに家を出ることにする。

美水でお昼。いつもの多聞天御前(イクラ丼、揚げ出し豆腐、温かいうどん)。すごく混んでるときに「常連様、一名様で~す!」と大声で案内されるのはとても恥ずかしい……。

家にリップを置いてきてしまったことに気づく。ぱさぱさした唇のまま、新しく借りた物件へ。あらためて部屋に挨拶して、ひととおり浄化を済ませる。ひっきりなしに鳴り続ける駅の発車ベルと踏切の音は、音楽をかけていればそんなに気にならないかも。

水道の手続きの準備をして、電気の手続きをすべく、東京電力に電話をかける。「電力自由化」で、東京電力の窓口でも他の新会社を斡旋しているようだ。「お安いところをおすすめしてよろしいですか~?」とオペレーターさんが言う。「う~ん、申し訳ないけど、ちょっと考えさせてください」と電話を切る。どのみち新会社との契約になるなら、お値段は高くても、原発の電気を使ってない会社がいい。

いったん帰宅して洗濯をし、赤いワンピースに着替える。今日は代官山の「晴れたら空に豆まいて」で「のろしレコード」のレコ発ライブ。ジロウは真っ赤なタイパンツに、寒さんから譲りうけた黒いフロックコート。まるで魔法使いのフーフのようなおそろな出で立ちに。

電車に乗る前に、龍神が彫られた厳島弁財天の純銀の指輪をまた落としてしまったことに気づく。この前は、中原さんが亡くなったときになくして、しばらくしたら出てきたから「龍が中原さんをあの世まで連れて行ったのかなー」とか行っていた。今度は最近亡くなったKちゃんを送りに行ったのだろうか。

その前に、恵比寿の「今市」で腹ごしらえ。熱燗、ひや酒、ひらめの昆布〆、白子ポン酢、おでん(大根、うずら卵、牛すじ、こんにゃく)。

恵比寿から代官山へ行く途中の古着屋さんで、ファンキーなセーターを見つけたジロウが「これいい!」と言って立ち止まる。ちょうど店の外に出て来ていた店員さんが「ぷっ」と吹き出す。

「晴れ豆」こと、「晴れたら空へ豆まいて」に到着。おとなしくアルコールでなくペリエを注文する。すごく楽しみで、前の方を陣取るものの、地下のライブハウスでどんづまり、ぎゅうぎゅう詰め。閉所恐怖所の私はくらくらとして、開演前に何度もトイレと席とを往復するものの落ち着かず、結局3曲目くらいでドアの前まで避難。よく見えないけれど、なんとか最後まで聴けました。

鎌倉に戻る。駅員さんに指輪の落とし物が無いか聞いてみたけれど、見つからない。帰宅して1時45分に寝る。