醒メテ猶ヲ彷徨フ海|野原海明のWeb文芸誌

野原海明(のはら みあ)のWeb文芸誌

〔日記〕程良く塩味がつくという

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  • 波止場、
  • 狂人もゐる
  • 山頭火

ノンキの底からサミシサが湧いてくる、いや滲み出てくる。

種田山頭火 行乞記 (二)

睦月十三日、雪。

「5時に起きる、5時に起きるぞ……!」と言い聞かせながら寝ていた。また、左の奥歯がボロボロと欠ける夢を見る。ハッと目が覚めて、なんだ夢か、よかった……と洗面所に行くと、やっぱり左の奥歯が欠けるのだ。うう、今度こそ夢じゃないみたい……どうしよう……と思っていたら、もう一度目が覚めて現実に帰って来た(歯は無事でした)。

現実逃避したくなると、歯が欠ける夢を見るというが、そんなにプレッシャーを抱えているのか、おれは……。

5時23分に起きる。6時半に家を出て羽田空港を目指す。グレゴリーのバックパック「コンパス30」は、買ったときには随分大きいと思ったけれど、慣れればそんなに違和感はなくなってきた。

羽田空港へ到着。ANAの保安検査場は、来る度にちょっとずつ手順が違ってドギマギする。747便の「のと里山空港」行きは、雪のため着地できない場合は羽田へ引き返すとのこと。ハラハラしながら離陸。

壮大なアルプスを飛び越える。

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能登半島が近づくにつれ、雲が厚くなる。揺れは言うほどひどくなかったけれど、それでもちょっと気持ち悪くなる。

無事着陸。「奥能登乾杯めぐり」の看板をジッと見ていたら、観光案内所のおねえさんがパンフレットを持って走ってきてくれた(ありがとうございます)。

空港で路線バスが来るのを待つ。一緒に飛行機を降り立ったみなさんは、誰一人いなくなってしまった……みんなレンタカーで移動するらしい……(さみしい)。

ぎりぎりまでロビーにいて、5分前くらいにバス停へ移動。吹雪いている。立っているだけでコートに雪が積もる……屋根はあまり意味をなさない……。

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予定の路線バスは来ず、その後に来るはずの高速バスが先に来る。経由地は同じなので、高速バスのほうに乗ってみる。

穴水駅までたどり着く。「能登空港連絡線切符」というものがバスの中で買えると聞いていたが、高速バスでは売っていなかった……。

のと鉄道に乗って七尾駅を目指す。乗客は、女子旅の大学生と、地元の女子高生。なんだか華やかである。

晴れてきた。

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冬の日本海なのに波はおだやか。湾と能登島で高波が遮られているのだろうな。

七尾駅に到着。雅亭でうどん定食を注文する。どんな定食かな~と思ったら、うどんと茶碗蒸しと炊き込みご飯でした。「若鶏セット」とかにすればよかったかな……。

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待ち合わせして七尾市役所へ。打合せ。和倉温泉まで送っていただいて解散。ホテル海望にチェックイン。

寒くて寒くて仕方ないので、早々に温泉に浸かる。和倉温泉は塩分が強くて、唇に触れると塩辛い。飲用の温泉もあるけれど、しょっぱいのでちょっとしか飲めない。温泉卵をつくると、程良く塩味がつくという。

「ON THE TRIP」の仲間たちが以前に作った音声ガイドはこちら。途中まで無料で聴けます。↓

on-the-trip.net

あったまってほこほことしたので、しばしデスクワークをしてから呑みに繰り出す。「のとの蔵」へ。

まずは能登町のお酒「竹葉」を熱燗で。ちょっと尖った感じが心憎い。「のとの蔵」は地元の牡蠣が自慢らしい。七尾湾は湖のように波がなく、里山から栄養豊富な川が流れ込む、絶好の牡蠣の養殖地なんだそうだ。無菌処理した海水で牡蠣を洗っているから、味付けをしなくてもちょうどいい塩加減。5個を独り占め。

続いて珠洲市の地酒「宗玄」を冷やで。すっとした甘味。アテは石川県の郷土料理、こんかいわし。塩漬けにした鰯をさらにぬか漬けにした保存食。鯖バージョンもある。これだけあれば、一升は呑めてしまう……。

他のテーブルのお客さんが帰って貸し切り状態。なぜかマスターと乾杯しつつ、さらに竹葉一合、宗玄一合(都合4合)。マスターは長崎の人なんだそうだ。九州風の牛すじ煮込みをいただいた。

のとの蔵
〒926-0175 石川県七尾市和倉町ワ23-3
2,000円(平均)1,000円(ランチ平均)

思いのほかたくさん呑んでホテルに戻る。23時17分にぱったり寝る。