醒メテ猶ヲ彷徨フ海|野原海明のWeb文芸誌

野原海明(のはら みあ)のWeb文芸誌

2018-10-29から1日間の記事一覧

(十四)夢の中にはもう一つの幻想がある〔note〕

三十代にして、もう一度中学に入る決意をした。今日は卒業式である。教壇に立つのは藤本さきこで、Tが書いた花(アネモネだろうか?)の絵を黒板にチョークで写し取っている。 見ればクラスメイトには、中学の同級生と高校の同級生が交ざっている。机をきれ…

(十三)夢の中にはもう一つの幻想がある〔note〕

高崎の実家に、主人と、主人の子どもたちと一緒に住んでいる。三人兄弟の末の女の子はまだ小さくて、小学生だ。長男は成人していて、私が呑みに行くのにいつも付き合ってくれる。十歳くらい年下の、血の繋がっていない青年を連れて歩くのは、なかなかいいも…

白濁(五十五)

きっと、お互いに表面しか見えていなかったんだ。外見だとか、体だとか。それでもずっと恋していた。 私は、別れる今になって、ようやく自分の内側を坂井の前にさらけ出しているのかもしれない。

〔日記〕正解なんてない

長く日々を共にした二人が、個々に別れて暮らすことを決めるまでの記録にも読める。さらりと過ぎていく日記の中に、きっとこれが決定的な日だったのだろう、という言葉が挟まれている。