家族というホラー ~ 豊田利晃監督 「空中庭園」
- 出版社/メーカー: ポニーキャニオン
- 発売日: 2006/05/26
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のほほんとしたタイトルで安心させて置きながら、不意打ち。ゾンビも幽霊も出てこないが、立派なホラーだ。
どんなに幸せそうに見える家族でも、外側からは見えない欠陥がある。嘘をつかないことが決まりの京橋家。お互いをさらけ出した会話から随分と仲のよい家族に見えるが、幸せな光景は空中でゆらゆら揺れるように不安定なものでしかない。
表向きと、本音。どこの家庭も、少なからず「幸せな家族」を演じているのか。例外にもれず、わが家も仮面家族である。上っ面だけの均衡。いっそのこと、はじけて崩れてしまえばいいのにと思っていた。しかし、実際にはじけてしまったら。その状態を目の前に突きつけられて、恐怖のあまり鳥肌が立った。
完全に完璧に、さらけ出さなくてもいいじゃない。目に見える光景が、真実ってやつなのかもしれない。