加藤登紀子 「わんから 即自独楽」
- 作者: 加藤登紀子
- 出版社/メーカー: 中央法規出版
- 発売日: 1994/01
- メディア: 単行本
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詩とエッセイと、写真と書と焼き物の本。歌にとどまらないお登紀さんの感性に脱帽です。タイトルとなった「わんから」とは、沖縄の方言で「我から」という意味なのだそうです。
表紙の字を書いてみたら「わからん」とも読めるのが、またおかしくて、少し大胆ですが、よしとしました。
「わんから」と、口の中で言ってみると、ちょっとやんちゃな気持ちがわいて、心がふくらみます。どうぞ、心地よくあなたも「わんから」して下さい。
(加藤登紀子 『わんから 即自独楽』 中央法規 1994. 2 p.121)
そう、この本にも山頭火が出てきました。この頃山頭火に呼ばれているなぁ。
逢う。求めあう。抱きしめる。守る。愛する。憎む。傷つける。
定点のほうがはるかに人を苦しめることになるのですから、それを恐れる人は、風であり続けるしかないでしょう。
種田山頭火、松尾芭蕉、西行法師、良寛。
人々が今もって愛して止まぬ人達が何故、放浪者なのか。理由はここにあるのじゃあないですか。でも放浪者は本当は、ずるいのです。
抱くことをやめた。つかむことをやめた。戦わない。いつでも逃げていくことができるように、誰かを抱くことより一人を選ぶ。
(同上 p.34-36)
私も、放浪者でありたいのです。孤独な旅の果てに、酔って倒れて野ざらしのしゃれこうべになるのもまたよし。でも私は、定点に縛り付けられてしまいました。いや、自らの手で錨を下ろしてしまったと言うべきかもしれません。私は、愛しい男を置いて遠くへ行ってしまうことができない。