越えてしまった死
私の従姉は二十二歳を目前にして死んだ。白血病に似た、原因不明の難病だった。もう十年以上も前のことだ。
まだ元気だった頃、「すいかの名産地」という童謡を唄ってくれた陽気な声を思い出す。棺の中で青白く、目を閉じていた顔も。蝋人形のように透き通って見えた。美しさに息をのんだ。
たくさんの薬を飲んでいたから、彼女の骨はもろかった。箸で摘んで骨壺に入れるのに難儀した。薬のせいで、桃色や山吹色に染まった、色鮮やかな骨だった。
平松洋子さんの『おとなの味』の中の一編、「骨の味」を読んで従姉の最期を思い出したのです。
- 作者: 平松洋子
- 出版社/メーカー: 平凡社
- 発売日: 2008/01
- メディア: 単行本
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もう、従姉の歳を幾年も過ぎてしまったのだ。とてもお姉さんに見えた二十一の従姉を。