隠居
ひさしぶりに背広を着て仕事へ行く。
ざくざくと仕事をこなす。
今週はいそがしい。来週以降の予定が頭に入ってこないので、とりあえず金曜まではコツコツ進むことにする。
気分転換のヒグラシ文庫で日本酒二合。
最近の夕暮れのヒグラシは平均年齢が高い。
しかし、おしゃれな女の子がたくさんいるカフェよりも、六十代、七十代のおじさんたちが並ぶ立ち飲み屋の方がしっくりくるのは何故なのだろうか。
母の友達から「海明ちゃんはご隠居だから」と言われた十代の頃を思い出す。
おじさんとおじさんの間で、背広を着たまま杯を干す。塩ドーフ、秋茄子。
帰ってからお茶を入れて、書類を書く。
一時間くらい唸って、脳ミソが疲れたので突然小説を書き始める。
忙しいときに限って、ことばはとめどなく溢れてくる。
洗濯をする。
小腹が減って、焼き海苔をかじる。
風呂上がりに芋焼酎を少し、鶏肉を焼いたの、ゴボウのきんぴら、きゅうりの梅干し漬け。