〔随想〕 ショートヘア
細くてやわらかく、天然パーマなのですぐに絡まる。乾燥しやすく傷みやすいのに、ずぼらなのでろくに手入れをしていない。美容師泣かせの髪をしている。
小学生まではずっと髪を伸ばして三つ編みにしていたが、母親に「中学生になってまでそんな長い髪をしている人はいないのよ」と諭され、そんなものかなと、腰の下まであった髪を生まれて初めて肩までの長さに切りそろえた。
おかしい。
ふわふわでくるくるの髪は、長かった時には気づかなかったが、物凄く膨らむのである。毎朝必死に整髪剤をつけてみても、昼にはくるんくるんのぼわんぼわんになっている。
仕方がないので、床屋へ行く兄と弟(血は繋がってないんだが)について行く。これも、「床屋のほうがショートは上手いから」という母親の持論に納得させられてのことである。凛々しい太眉のおれは、三人「兄弟」の真ん中に勘違いされて、危うく揃って仲良くバリカンでスポーツ刈りにされそうになる。
なんとか阻止して、ぼわぼわだった髪は女子向けのショートになったが、掛け始めた瓶底眼鏡と合わせるとどう見ても女子には見えない。制服のスカートが違和感に満ち溢れている。そうしておれの、モテない中学生ライフが始まったのである…
教訓その一。髪はやっぱり女の命である。自分のポリシーを守ること。
教訓その二。母親のいい加減な助言を真に受けてはいけない。