日本展示学会の「展示論講座」を受講しました(3)
講義まとめの続きです。
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講義4■木村浩(筑波大学)展示とデザイン
博物館とはなにか
- 収集
- 調査研究
- 保存
- 公開(展示)←ここに展示が出てきました
デザインとは何か
- 創意・工夫して「より良くする」行為
- 「どのように機能するのか」の創意・工夫
博物学とはなにか
たとえばプリニウスの『博物誌』。15世紀に活版印刷されたこの本のフォントは、今でも使われている。
日本で最初の公営の博物館は、東京国立博物館(東博)。その東博が定めるところでは、日本で最初に行われた博覧会は、1872(明治5)年3月に湯島聖堂で開催された陳列会。ウィーンの万博に出展するものを選べるための展示だった。このとき人気だったのは、名古屋城から取り外された金のしゃちほこ。
展示とは何か
「展示」という言葉が確認されるもっとも古い書物は、1877(明治10)年に出版された『慕邇矣稟報』(もるれいりんぽう)という、文部省お雇い外国人による万国博覧会の視察報告書。もうひとつは、1887年の『煙草税制類纂』。たばこを売る際に「店頭へ展示スル」と記載されている。
「展示」という言葉が登場する前には「陳列」「展覧」が使われていた。ただ並べるだけでなく、伝えたい意図が伝わるように配置するという意味で「展示」が使われたのは1940年以降。たとえば、山名文夫が『博物館研究』第17巻第3号(1944)の中で、展示とは何か述べている。
ピクトグラム
貴重な物や珍しい物など、形のある物を展示するのが一般的な博物館や博覧会であったが、1925年のウィーン市に初めて統計などのデータを展示する社会経済博物館ができた。館長のオットー・ノイラートは、これらのデータをわかりやすくみせるために「アイソタイプ」を考案した。現在はピクトグラム(絵ことば)として活用されている。
競技ピクトが作られるようになったのは東京オリンピックが初めて。町中にあるピクトグラムを見ることで、言語の壁を超えて情報が伝わる。
講義6■河石勇(トータルメディア開発研究所/プロデューサー)展示のコンセプトメイキング
コンセプトととはなにか
たとえば、白くてもじゃもじゃした動物の写真が並んでいるときに・・・「これは羊じゃなくて、犬である」と見分けられるための「共通するなにか」。差別化、特徴化するもの。少し前に流行ったシャンプーの「アジエンス」というブランドは、差別化しようとする強いコンセプトが見られた。
コンセプトの2つのはたらき
- 「ひらく」ブレーンストーミング
- 「しぼる」ブラッシュアップ
コンセプトをどう使うか
- 関係者とのコミュニケーション
- 広告のキーフレーズ
- 他施設との差別化
- 職員間の共通認識